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【岡本信一の科学する農業】
耕すことの功罪を考える
- (有)アグゼス 代表取締役社長 岡本信一
- 第16回 2013年02月15日
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耕すことで農耕地を広げ、農産物の安定収穫を可能に
おそらく農耕が始まった頃は、地面にちょっとした穴を掘って種を植えたというところから始まり、徐々に新しい道具が発達し、深くまで掘れるようになったことで安定して収穫できるようになってきたのだろう。
決定版とも言える道具は、1838年ジョン・ディーアと共同経営者によって作られた鋼鉄製の鋤だ。鋤を使って耕せば、従来よりはるかに農耕地を増やすことが容易になった。この基礎となる耕す技術が発展し、現在はそれぞれの地域の土壌に合ったノウハウが確立されている。この鋤の開発がなければ現在の世界人口は養えていないはずだといっても過言ではないのだ。
しかし、当時は有機物の還元などの必要性が認識されておらず、表土が風や雨によって失われ、耕作不能となって放棄される畑が続出した。土壌の腐食に対する理解が進むにつれ、有機物を還元する必要性が見直さることとなった。これがいわゆる有機農業の本当の始まりではないだろうか。日本でイメージされるものと異なり、有機農業の原点は土壌保全、環境保全を目的としていたのである。
有機物を還元しながら、農産物を安定的に生産できることこそが、耕すことの「功」の部分である。
耕すこと、農業そのものが最大の環境破壊行為
反面、実は耕すという行為は最大の環境破壊でもある。というよりも農業そのものが、環境破壊行為そのものだといってもいいくらいである。
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岡本信一 オカモトシンイチ
(有)アグゼス
代表取締役社長
1961年生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業後、埼玉県、 北海道の農家にて農業研修。派米農業研修生として2年間アメ リカにて農業研修。種苗メーカー勤務後、1995年 農業コンサ ルタントとして独立。 1998年(有)アグセス設立代表取締役。農業 法人、農業関連メーカー、農産物流通企業、商社などの農業生 産のコンサルタントを国内外で行っている。講習会、研修会、現地 生産指導などは多数。無駄を省いたコスト削減を行ないつつ、効率の良い農業生産を目指している。 Blog:「あなたも農業コンサルタントになれる」 http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/
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