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今年の市場相場を読む

春を告げる豆類の年間需要 インゲン、サヤエンドウ、ソラマメ、ピース

年明けから春に至る時期の野菜のなかで、沖縄や鹿児島など南からやってくるマメ科野菜類には格別な春の香りがする。2~3月にはまだまだ寒さが残る関東に南の春らんまんが到来するというイメージがあるだろう。年明けから本格化した南の豆類は、季節が進むに従って北上し、年末にはまた南に戻る。ほぼ年間切れ目なく入荷するが、近年では東北を中心に産地のあり方が変化しているものもある。春を告げるイメージはあっても豆類は本来、夏のものであり、需要全体をみると周年にわたる供給が求められている。供給の谷間を輸入品が補完しているものもあるため、産地リレーの将来像を見直してもよい。


インゲン 沖縄・鹿児島から始まる春商材。東北産地での幅広品種の拡大を

【概況】

東京市場のインゲンの入荷は、年内から始まる沖縄産が年明けに本格化する。5月ごろに千葉産が出回るまで沖縄と鹿児島産が8割前後を占め、夏場は福島など東北に産地が移動するものの、11月には鹿児島産が数量をまとめてくるため、“南国産”のイメージが強い。長らくトップ産地だった夏秋期の福島が2011年以降、沖縄にトップの座を明け渡している。この影響を受け、市場全体の入荷量は15%も減少した。

【背景】

福島産は過去5年の統計で12年の入荷が半減している。誰もが原発事故との関連を考えがちだが、実はすでに事故前年から激減していたのだ。原因は08年、09年と連続して大きく入荷を増やして単価が暴落ぎみになったため、その反動で減少したものといわれる。入荷のピークは夏場の3カ月だが、福島産の激減でピークは明らかに小さくなった。圧倒的な夏秋期の主産地だっただけにそれを代替する大型産地の登場が待たれる。

【今後の対応】

南の早出し産地はほとんど数量的に変化がないが、近年の福島産はマンズナルやサーベル種など幅広品種が伸びている。歯応えが良く、揚げ物にも向く幅広品種は徐々に消費者にも浸透してきた。本来の旬である夏場に形成されていた入荷のピークに、かつてのような勢いを取り戻してほしいもの。今、園芸振興を狙っている宮城や秋田、かつて夏の産地として君臨していた岩手も園芸復活の品目として夏秋物の拡大が求められる。

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