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【人生・農業リセット再出発】
あなたの苗字の由来は?
- 作家 元国際線乗務員 黒木安馬
- 第145回 2013年02月15日
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幕末を迎え、海外の列強と伍して国をつくらなければならない明治新政府が誕生する。もとより欧米諸国からの侵略を防ぐにあたっての開国であり、富国強兵は急を要した。明治4年には全国に戸籍法が発布される。その際、苗字が無くては徴兵するにも誰が誰だか把握できない。それから4年、苗字を強制する法律「平民苗字必称義務令」により、国民はみな公的に苗字を持たなければならなくなった。つまり、130数年前の明治初期まで庶民には苗字は一切無かったのである。
兵隊に取られる、税金を取られる……国民はその真意を見破って反発した者も少なくなかった。自由奔放に平地部の人々とは違った古代からの伝統と血族を引き継いで生きてきた山岳民族は、捕縛され、官憲から逃げては殺され、平地へ引きずり降ろされて消滅の運命に遭う。反対色の強い村には、役人が大工を連れて一軒一軒回り、適当な苗字を思いつきで書いた表札を玄関に打ち付けたと記録が残っている。とはいえ、お上の命令にいつまでも背くわけにはいかず、人々はどのような名前を付けるか苦心した。山や田んぼの上方から家を数えて畑山、畑中、山田、田上、田中、中田、下田……、橋の近くだから橋本など勝手気ままな苗字が創られ、そのまま急いで登録される。戸籍整理の場面では徴兵や税金逃れで届け出が遅れ、6年経っても戸籍が不完全で「長崎では徴兵が一人もできていない!」と大山巌陸軍大臣を嘆かせた一幕もあったという。
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黒木安馬 クロキヤスマ
作家 元国際線乗務員
高校時に米国留学後、早稲田大学を経てJAL国際線客室乗務員として30年勤務。世界初の「カラオケ・フライト」や「1万メートル上空・北島三郎機上コンサート」などを実現させる。千葉の自宅は1300坪の山林を開墾してプール、テニスコート、コンサートホール等を手作りする。現在、(株)日本成功学会社長として自己啓発や社員教育で講演中。著書に『成「幸」学』(講談社)、『あなたの人格以上は売れない!』(プレジデント社)、『出過ぎる杭は打ちにくい!』(サンマーク出版)、『面白くなくちゃ人生じゃない!』(ロングセラーズ)、『リセット人生・再起動マニュアル』(ワニブックス)、『小説・球磨川』(上下巻・ワニブックス)などがある。 E-mail:yasuma@myad.jp URL:http://www.3percent-club.com
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