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編集長インタビュー

米国に学ぶべき、地域を越えた作物別の経営者連合によるマーケティング

作物別に生産者による団体を持つ米国。それらの団体と連携しながら、日本で米国産の農産物の販売促進をしてきたのが、米国大使館・農産物貿易事務所(ATO)だ。日本のマーケットに門戸を開いてきた彼らの活動に、日本の農業者たちは学ぶべきことが多いはずだ。スティーブ・シュニッツラー所長に話を聞いた。

イベントや報告書で輸出を促進

昆吉則(本誌編集長) 我々は月刊誌の『農業経営者』という雑誌を作っています。この雑誌は、農産物の自由化を進めるべきという立場にあるんですね。日本は国内的な問題を解決すれば、自らの競争力に自信を持った形で対応できる。そんな認識を持っています。
 それで、本日伺いたいのは米国のマーケティングについてです。米国は戦後、日本への農産物の輸出を戦略的に進めてきました。一方で日本の場合、米国のようなマーケッティングや政治的な交渉はまったくできていない。だから、米国の生産者協会のマーケティングを学ばなくてはいけないと思っています。そのことをお聞きする前に、まずは農産物貿易事務所(ATO)の日本での役割と戦略について教えてください。


スティーブ 分かりました。ATOの役割ですが、一つは米国の農産物生産者団体や輸出振興機関が日本に農産物や食品を輸出するのを助けること。それに当たって、用意されたいくつかのプログラムを活用します。一つには先にあげた米国の農産物生産者団体や農産物輸出振興機関と連携し、日本の小売や卸業者向けに米国の食品を紹介し販売促進していく仕事がありますね。日本の輸入業者様向けのセミナーも用意しています。また、日本の市場についての報告書も作成していますよ。輸出したい、あるいは既に輸出している米国の生産者や業者向けですね。例えば「輸出者のためのガイド」という報告書があり、日本に農産物や食品を輸出するに当たっての注意点などに触れています。また日本の小売やホテル、レストラン、食品製造業、それから私の好きなワイン市場についての報告書もありますね。

昆 ワイン好きとは、カリフォルニアのご出身ですか(笑)

スティーブ いえ、ボストンです(笑)。ほかに各種イベントも企画・開催しています。例えばシェフ・コンテストなど。他にFOODEXなどのトレード・ショーにも参加しています。一連の活動については日本に45ある米国の農産物生産者協会と緊密に連携しています。そうした協会の中にはカリフォルニアチェリーやカリフォルニアワインなどがあります。中でも大きいのは米国食肉輸出連合会(USMEF)ですね。逆に小さな協会としてはウェスタン・グロワーズ・アソシエーションがあります。これは野菜を扱っている団体です。

昆 カリフォルニアの団体ですか?

スティーブ そうですね。主にカリフォルニア、それからアリゾナです。全体として効果的にマーケティングができるように、彼らとは密接に連絡していますね。米国農務省の市場開拓のプログラムがありまして、これを活用しています。このプログラムは政府と民間との連携のプログラムでして、農産物を販売促進するための基金を提供するんですよ。以上がATOの活動の概略といったところでしょうか。

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