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シリーズ水田農業イノベーション

雪国のコメづくり技術を革新する(後編)乾田直播導入の効果と心得 水稲乾田直播の栽培の極意と狙い

乾田乾籾直播栽培は環境にやさしい!? 岩見沢地域で普及の進む乾田乾籾直播栽培は、消費燃料が慣行栽培より30%程度少ない。直播栽培では育苗に使用する石油製品であるビニールやハウス諸資材の消費はゼロである。輪作の一品目として導入した場合、畑作から水田作に戻す復元田での栽培となるためコメの蛋白(たんぱく)値は上昇するが、施肥量が少なくて済む。石油代替資材の消費量が少なく、作業の回数が減少することで燃料消費量が節減されたことは、環境への負担軽減につながる。おいしさや品質とは別の価値が創造でき、そのお米を消費者が支持することも考えられる。


播種機の機械費用の実際

図1のような直播の播種機1台の購入費用は約400万円である。播種機の1年間の作業面積と機械費用負担額を更新年別に図2に示した。例えば、7年更新で1年間の作業面積が5haだと10a当たり1万2000円になるが、30haで使えば同2000円で済む。また、図の「■」と「▼」は、岩見沢地域で導入した14台の播種機それぞれの作業面積と利用料金を表している。■は湛水直播用で、▼は乾田直播用である。農家の播種機の負担額は同8000円がコスト限界で、少ないにこしたことはない。実際には、適期作業を考慮した1台当たりの作業面積は約25haである。共同利用や請負作業を行なうことで、年間の機械費用を目標水準の10a当たり2000円以下に近づけることができる。

直播作業機は高価で投資規模が大きいと考えがちだが、畑作の作業にも稼働させることもできる汎用機であり、10a当たりの機械費用は移植栽培の育苗・田植にかかる費用より小さくなっている。これは、直播作業機は稼働面積が大きくなると機械費用が低減するが、移植栽培で利用する育苗箱や育苗ハウスの費用は面積に対して一定の費用がかかり、田植機は稼働面積が大きくなっても、費用の低減効果が低いためである。

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