ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

シリーズ水田農業イノベーション

乾田直播が変える水田利用(後編)~耕盤のない水田で水を貯める鎮圧作業による浸透抑制~

「底なし」水田での漏水対策

これまで、代かきを行なわなければ適切な減水深を保つことが不可能であった「底なし」水田では、漏水の発生により乾田直播のような無代かきによる水稲栽培が困難であった。しかし、ケンブリッジローラーなどの畑作用の圃場鎮圧機械を水田へ汎用利用することにより、代かきによらずとも縦浸透量を低減できるのだ。鎮圧作業によって縦浸透量を低減するために特に考慮すべき点は、(1)鎮圧時の土壌水分条件、(2)圃場全体を余すところなく鎮圧することである。
代かきでは、水中での撹拌により分散した細かい土粒子が沈降して水を通しにくい層を形成し、水みちが目詰まりすることによって浸透が抑制される(図1・上)。一方の乾田直播では、畑状態であるため、土壌を圧縮して水みちとなる空隙を減らす必要がある(図1・下)。
畑状態で浸透を抑制するには、圃場を適度な水分状態で踏圧し土壌を締めることが重要である。乾燥した状態では土壌が十分に締まらないため、浸透が抑制されにくく、土壌の水分が高いほど、よく締まって、浸透も抑制される傾向にある。だからといってあまり水分が高い状態で土壌を締めようとすると、土が大きく変形する、あるいは乾燥時に収縮亀裂が生じて水みちができてしまうので、鎮圧作業が可能な範囲内での高水分状態で土壌を締めることが有効である。
また、代かきでは水を入れて土壌を撹拌するので、圃場全体で均一な漏水防止効果が期待できるが、乾田直播では、入水しないため圃場の各地点で水分条件が異なる。よって、圃場全体の縦浸透が低減するように各地点を意識して作業することが求められる。まず、圃場内で縦方向および横方向の走行を繰り返し、全面ムラなく鎮圧することが望ましい。
ただし、圃場外周の畦畔際や圃場四隅は鎮圧ローラ等では鎮圧されにくく、乾田直播圃場で漏水が最も生じやすいのは畦畔際であるという調査結果もある。鎮圧体系による乾田直播では、漏水防止という観点から畦畔際や圃場四隅の鎮圧を無視できないため、トラクタのホイールによる圃場外周の鎮圧作業がその解決手法となる(図2)。

関連記事

powered by weblio