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新・農業経営者ルポ

ジャガイモで1億を稼ぐ九州男児




コントラクターのきっかけは馬力不足のトラクターの購入


82年、宮崎市中央卸売市場の関係者との話でゴボウの生産を始めることになり、川南青果を立ち上げる。その際、播種前に3連の部分深耕ロータリーで作条を深く掘るのに高馬力なトラクターが必要になることを受け、シバウラ社の83馬力を導入した。だが、「これじゃ力不足でダメだ。深さが足りん」と言われてしまう。困った岩切はすかさず105馬力を買い求め、1mくらい深耕できる体制を整えた。これが期せずしてコントラクター事業のきっかけになる。同じ年にもう1台、105馬力を追加し、都合3台のシバウラ社製トラクターを1年で導入した。
当地は畜産が盛んな土地柄である。トラクターの通年利用を考え、デントコーンや牧草の収穫・運搬、堆肥の散布・販売を手がけるようになる。また、冬季の余剰労務対策として圃場整備なども行なうことにした。町内で最も基盤整備の進んだ地域だったこともコントラクターが成立するのに有利に働いた。
翌83年にはコントラクター部門を独立させ、有限会社川南農業土木を設立する。営業に必要な土地・建物は養蚕で使用していたものを生かし、機械の購入費や整備費、運転資金は部分的に田畑を売却して充当した。
それから10年後の92年、農業生産法人になり、翌年に有限会社アグリパートナー宮崎に社名を変更する。09年には株式会社に改組し、建設業の許可も取得した。今年11月現在、役員2人、事務員1人、各種免許取得技能士15人、シルバー人材センターとハローワークを通じて6人のパートタイマーを通年雇用し、業務を進めている。

ジャガイモ作だけで1億円以上を稼ぎ出す

「コントラクターはおもしろい商売じゃないよ」
岩切の地盤の振興班にはかつて23戸の畑作・畜産専業農家が存在したが、今では3戸になった。地区全体では400何戸が12戸を数えるのみだという。活動範囲は町内のみならず、川南町が含まれる児湯管内や隣の西都市、また県外から呼ばれることもある。しかし、10年に発生した口蹄疫問題で一時的にストップしたものが尾を引き、経営の柱とはいえなくなっている。
一方、農産では1日に何百万円も稼げる品目がある。ポテトチップ用ジャガイモだ。今年は62haに作付け、1500~1800tの収量で1億円以上を稼ぎ出したという。金額に目が行ってしまうものの、これだけの作付面積は北海道でもそうはいない。前述の鈴鹿農園でさえ30ha弱である。ここ九州でその面積を実施するとなると、適期での作業ができないのではないかと見るが、岩切は機械設備と作型で問題をクリアしている。

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