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【土門「辛」聞】
減反配分の廃止で急がれる現物と先物の市場整備
- 土門剛
- 第112回 2013年12月25日
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「40年以上続いた生産調整の見直しを行なって、自らの経営判断で作物をつくれるようにする、そういう農業を実現してまいります。そして、食料安全保障に直結する麦・大豆、飼料用米の生産を振興します」
まず前段の「生産調整の見直し」と言及した部分は、「国による生産数量目標の配分行為はやめる」と具体的に説明すべきだったと思います。後段の「そして」以降に述べた部分は転作奨励金のことでして、これが減反の配分行為を廃止後の主たる減反誘導策だと説明しておけば、少しはメッセージが強まったかもしれません。
それはさておき、やはり何をどう見直すのか、その具体的な内容についての言及もなければ、それに代わる新たな制度についての説明がなかったことは、混乱に輪をかけたものでした。
林芳正農水相も同じぐらい説明不足でした。減反見直しについて初めて言及した10月11日の記者会見から、本稿執筆時点での直近の会見(12月6日)まで17回に及ぶ会見録に目を通しましたが、残念ながらこれについての踏み込んだ発言は何もありませんでした。いま、現場が最も知りたいのは、そんな通り一遍のような説明ではありません。その具体的な内容、それにつながる方向感のようなものを知りたがっていると思うのです。
配分行為の廃止を決めたなら、需給を反映する先物や現物の市場を早急に整備することを表明するべきでした。正式決定した11月26日の会見で「生産数量目標の配分に頼らなくても、生産者自らが経営判断で需要に応じた生産をやっていける仕組みを作っていこう」と述べたことで今後の方向を示したようですが、具体策が何も見えてこないのです。それともう一点、減反を形骸化してきた政府によるコメの買い上げや放出についても、あらかじめ定めたルールでしか政府はこれをやらないことを明確に宣言する必要があったのではないでしょうか。
林農水相の答弁は、農業団体や農水族議員に遠慮しているような印象を受けました。全中が強く反対している米市場について触れ11月8日の記者会見での発言をチェックしてみたいと思います。
まず前段の「生産調整の見直し」と言及した部分は、「国による生産数量目標の配分行為はやめる」と具体的に説明すべきだったと思います。後段の「そして」以降に述べた部分は転作奨励金のことでして、これが減反の配分行為を廃止後の主たる減反誘導策だと説明しておけば、少しはメッセージが強まったかもしれません。
それはさておき、やはり何をどう見直すのか、その具体的な内容についての言及もなければ、それに代わる新たな制度についての説明がなかったことは、混乱に輪をかけたものでした。
林芳正農水相も同じぐらい説明不足でした。減反見直しについて初めて言及した10月11日の記者会見から、本稿執筆時点での直近の会見(12月6日)まで17回に及ぶ会見録に目を通しましたが、残念ながらこれについての踏み込んだ発言は何もありませんでした。いま、現場が最も知りたいのは、そんな通り一遍のような説明ではありません。その具体的な内容、それにつながる方向感のようなものを知りたがっていると思うのです。
配分行為の廃止を決めたなら、需給を反映する先物や現物の市場を早急に整備することを表明するべきでした。正式決定した11月26日の会見で「生産数量目標の配分に頼らなくても、生産者自らが経営判断で需要に応じた生産をやっていける仕組みを作っていこう」と述べたことで今後の方向を示したようですが、具体策が何も見えてこないのです。それともう一点、減反を形骸化してきた政府によるコメの買い上げや放出についても、あらかじめ定めたルールでしか政府はこれをやらないことを明確に宣言する必要があったのではないでしょうか。
林農水相の答弁は、農業団体や農水族議員に遠慮しているような印象を受けました。全中が強く反対している米市場について触れ11月8日の記者会見での発言をチェックしてみたいと思います。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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