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土門「辛」聞

減反配分の廃止で急がれる現物と先物の市場整備

メディアは、相当混乱しているようですね。いまだに「減反廃止」と伝えていることです。5年後に廃止するのは、国による減反(生産数量目標)の配分行為であって、決して減反政策そのものを廃止するわけではありません。正しくは、減反政策の見直しということになります。 分かりづらくしたのは、政府の公式見解ではないでしょうか。減反の見直しを正式に決めた「農林水産業・地域の活力創造本部」の第9回会合(2013年11月26日)で本部長の安倍晋三首相の発言は、説明不足でした。
「40年以上続いた生産調整の見直しを行なって、自らの経営判断で作物をつくれるようにする、そういう農業を実現してまいります。そして、食料安全保障に直結する麦・大豆、飼料用米の生産を振興します」
まず前段の「生産調整の見直し」と言及した部分は、「国による生産数量目標の配分行為はやめる」と具体的に説明すべきだったと思います。後段の「そして」以降に述べた部分は転作奨励金のことでして、これが減反の配分行為を廃止後の主たる減反誘導策だと説明しておけば、少しはメッセージが強まったかもしれません。
それはさておき、やはり何をどう見直すのか、その具体的な内容についての言及もなければ、それに代わる新たな制度についての説明がなかったことは、混乱に輪をかけたものでした。
林芳正農水相も同じぐらい説明不足でした。減反見直しについて初めて言及した10月11日の記者会見から、本稿執筆時点での直近の会見(12月6日)まで17回に及ぶ会見録に目を通しましたが、残念ながらこれについての踏み込んだ発言は何もありませんでした。いま、現場が最も知りたいのは、そんな通り一遍のような説明ではありません。その具体的な内容、それにつながる方向感のようなものを知りたがっていると思うのです。
配分行為の廃止を決めたなら、需給を反映する先物や現物の市場を早急に整備することを表明するべきでした。正式決定した11月26日の会見で「生産数量目標の配分に頼らなくても、生産者自らが経営判断で需要に応じた生産をやっていける仕組みを作っていこう」と述べたことで今後の方向を示したようですが、具体策が何も見えてこないのです。それともう一点、減反を形骸化してきた政府によるコメの買い上げや放出についても、あらかじめ定めたルールでしか政府はこれをやらないことを明確に宣言する必要があったのではないでしょうか。
林農水相の答弁は、農業団体や農水族議員に遠慮しているような印象を受けました。全中が強く反対している米市場について触れ11月8日の記者会見での発言をチェックしてみたいと思います。

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