農業ビジネス

こんな話もあった。ガイドはこの集荷施設の経営者であったが、ご子息は過去に２回ほど誘拐事件などのトラブルに遭遇していたそうだ。20歳になった時にライバル会社の集荷業者の娘を嫁にもらうことになり、その後、一切のトラブルがなくなったという。台湾版の政略結婚人質作戦大成功といったところなのか。
帰国後、３００石乾燥機が合計で20台の契約となった。10年経った今でも故障知らずで、働いてくれていることに感謝できるのも三久の林栄郎社長の人柄なのだろう。あの３・11の震災でメールをいち早く送っていただいたのはあの林社長である。同じ時刻にメールがもう一つ届いた。それはあの鶴のマークで有名な航空会社からの定型文ではない手入力での社員ご紹介ＪＡ●カードの申込案内だった。もちろんその２時間前にあった震災のことは何も書かれていない。日の丸を背負った会社と、もしかして反日になっていたかもしれない親日の国、台湾の会社の対応の違いに驚かされる。
台湾滞在中に現地の20代の方たちと話す機会があり、私は日本という国を信用しているかどうかを聞いてみた。彼ら、彼女たちは戦争中にはいろいろあったようだが、社会資本を作ってくれた日本に感謝するとともに戦後は追いつけ、追い越せと親たちから教育を受けたそうだ。
その時は疑っていたが、３・11の震災では２００億円を超える義援金と救助隊をいち早く送っていただいた台湾にすべての日本人は多大感謝する。日本人よ、もし台湾に有事が発生した時に義勇団を結成して、馳せ参じるくらいの器量があっても良いだろう。ちなみにこの三久の林社長は個人として最高額の１ミリオン･ドルを献金した方でもある。
帰国してから台湾の歴史を調べてみた。日本の戦国時代後期にポルトガル人がやって来たのは、誰でもご存知のはずだ。その後オランダ人がやって来て、出島などの限られた場所からではあるが金髪･ブルーアイ文化が発信された時期でもある。同じ頃、オランダ人は台湾を占領･統治していたのである。
なぜ台湾は占領され、日本はされなかったのか？　この時から大東亜戦争の序曲としての歴史の歯車は回りだしていたのだろうか。ウィキペディアによればその統治があって台湾にヨーロッパの価値観が植えつけられたとある。確かその頃の朝鮮半島は清の国の影響力が強かったはずだ。これじゃ両国を50年間日本が統治していたとしても、そのバックグラウンドが違いすぎますね。