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シリーズ水田農業イノベーション

座談会・盛川周祐×高橋誠×昆吉則 子実トウモロコシの地域自給に向けて~畜産家、地域の飼料業者に新たな可能性が生まれる~


高橋 同感です。ただ供給量については、まだまだこれからというのが現実ですね。餌は、内容が数パーセント変わっただけで、お肉の風味が変わってしまうという問題があるので、例えば、当座は数カ月分だけの供給なら、キリンビールさんの「一番搾り とれたてホップ 生ビール」のように、国内産のトウモロコシを使った銘柄豚の商品を期間限定でPRして変化を演出していくといった工夫は必要ですね。市場にそのまま出すと、スーパーやハム屋さんのバイヤーからは一言あるでしょう。品質が変わっちゃったよ、と。ハム加工は、均質な肉に均質な加工をかけるので、フレッシュミートとしての品質が上がったからハムもいいというわけではないんです。でも、銘柄豚にとってはチャンスです。全国で群発的に小さいロットで始まるなら、中小零細の畜産家のチャンスになるだろうと思うんです。

生産側の課題は乾燥設備と
コンバイン、そして貯蔵場所

昆 生産側としては、トウモロコシ生産が広がっていくときに、どういう問題点があると思いますか。
盛川 牧草と違うのは、乾燥しないといけないことです。乾燥機を使う時期が昨年はコメとバッティングしました。トウモロコシ専用の乾燥施設をつくるとコスト高になります。
昆 盛川さんは、もともと乾田直播など畑作の機械体系で、低コストでお米をつくっていらっしゃるんですよね。現段階でトウモロコシ生産を始めた人たちは「こんなに簡単にできる作物はない」とおっしゃるけど、トウモロコシを田んぼできっちりつくれるかどうかは、そういう技術的なこともあると思いますが。
盛川 ゼロから機械を揃えてスタートするのはなかなか難しいね。
昆 盛川さんのところも、今回、海外製のコンバインを買われたわけですけど、トウモロコシをコンバインで刈るということ自体、日本では農機メーカーを含めて全く経験がないんですよ。トウモロコシは世界で最も生産量の多い作物だから、海外製のコンバインはすべてトウモロコシを刈ることが前提になっていますが、日本は、農道が狭かったりするでしょ。盛川さんの周辺でも通れないところは結構あるんですか?
盛川 あります。刈取部の幅が5mあるので、まず一般道は走れないでしょ。普通の道路は片側3mだからセンターラインを超えるわけ。刈取部と本体を外すことはできるので、圃場までは別々に運んで圃場で取り付けます。その場合は、まとまった圃場が必要になる。それに、北海道とは違って、こっちは田んぼの入り口が狭いんですよ。だから入る圃場を選んだりしないといけない。国産のメーカーが汎用コンバインを造ってくれればやりやすくなるね。

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