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シリーズ水田農業イノベーション

座談会・盛川周祐×高橋誠×昆吉則 子実トウモロコシの地域自給に向けて~畜産家、地域の飼料業者に新たな可能性が生まれる~


高橋 完熟と半生があって、地元で消費していただいています。
盛川 最近、豚糞を使うようになってきたもんね。麦の圃場に。
昆 耕種農家としては、堆肥としての畜種はどうなんですか。
盛川 どういう機械体系でやるのかによります。C/N比を見ればわかるのですが、炭素の割合が大きくて肥料価値は低いけど土壌改良の効果が大きい堆肥と、化学肥料の代用になる濃い堆肥があります。うちの場合は、土壌改良で新しい圃場の場合に堆肥を上に入れたら上下入れ替えてまたそれを繰り返します。ある程度土をつくってしまえば、あとはそんなにやらなくてもいいんです。
昆 堆肥を投入したらむしろ障害になる人も出てくるわけですよね。まず、条件をつくれているかどうか。排水が悪いところだといっぺんに駄目になるし、お米にやったら倒伏したり、食味も悪くなったり。
盛川 やはり手間はかかりますよ。化成肥料みたいに、いつでも撒けて機械も汚れないというのと違って、堆肥だと機械も痛むし積み込む機械も要るし、コストと手間がかかる上に作業服とか車とかの臭いの問題もあるので。化学肥料という文明の力を使えばそれで経営が成り立ってきたけど、土はどんどん悪くなっていった。それじゃだめだというので、今度は行政が堆肥を入れろと指導し始めたでしょ。
昆 日本中の農地は富栄養化しているんです。農地を健康にするためにもトウモロコシは価値がありますよ。盛川さんは水田農家だけど、100馬力を超えるようなトラクターとその機械体系を持っていらっしゃる。そういう技術体系にきちっとした投資を考えてやる人しかできないんですよ。
盛川 そうですね、堆肥を3tやれ、5tやれ、というのは簡単にはできない。電話1本で散布する人がいて、うんと安くできて、自分の手を汚さないんだったらやりたいという人はいるでしょうけど。
高橋 その一方で、畜産仲間はみんな堆肥の行き場に困ってます。
盛川 ドイツに研修に行ったときに、豚を200頭ぐらい飼ってる農家が、ジャガイモと小麦をつくってたんですよ。経営として豚は儲かるけど、糞尿処理のために農地がないと豚を飼えないんだって。ジャガイモは高収入だからつくっていて、小麦は堆肥の管理のためにやっていると話していました。
昆 日本がこれだけ肉や乳製品を食べるようになっても農業が変わらなかったのはおかしいんですよね。
高橋 欧米では畜産文化として確立してますからね。
昆 本来の農業の姿ですね。プロ向けのコントラクターが成長することも含めて日本でもそうなっていくんではないかと思います。

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