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【弁護士・戸出健次郎の困ったときの相談と転ばぬ先の杖】
複数の相続人がいる中で農地を単独で相続する方法
- 弁護士 戸出健次郎
- 第7回 2014年01月28日
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父が所有する水田で、父とともに長年コメ作りをしておりましたが、先日父が亡くなり、私と、2人の弟が水田を相続することになりました。父の遺言がないため、法的には、3人で水田を共同相続することになるらしいのですが、水田を3分割すると経営を続けることができなくなりますし、弟2人はいずれも農業をしていません。そこで、私1人で相続し、コメ作りを継続するための方法を教えてください。
【回答】
(1)相続放棄による方法、(2)当事者間による遺産分割協議による方法、(3)家庭裁判所に遺産の分割請求をする方法の3つの方法があります。
【解説】
1 相続放棄による方法
お父様が亡くなってから原則3か月以内に、2人の弟さんに相続放棄の手続きをしてもらう方法です。家庭裁判所で手続きをする必要があるので面倒ではありますが、弁護士に依頼しなくてもできる手続きです(相続放棄自体の詳しい説明は弁護士に聞いた方が安全です。)。
ただ、相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったことになります。その結果、仮に水田の他にも不動産や多額の現金・有価証券等の相続財産がある場合、それらの相続権も失うことになるので、弟さんが相続放棄を拒否する可能性が高いです。逆に、お父様が多額の借金やローン等のマイナス財産を残している場合、2人の弟さんが相続放棄をすると、ご質問者様が1人で水田を相続できる一方、このマイナス財産も1人で相続することになるので注意が必要です。
2 当事者間による
遺産分割協議による方法
2人の弟さんと話合い、どの財産を誰がどのくらい相続するかを決める方法です。例えば、ご質問者様が水田を単独で相続する代わりに現預金は2人の弟さんが折半する方法や、水田以外にめぼしい財産がない場合、ご質問者様が水田を単独で相続し、水田の評価額等から計算した一定の金銭を2人の弟さんに支払う方法もありうるでしょう。
この方法は裁判上の手続きではありませんが、単に現存する財産を分割すれば良いという単純なものではなく、お父様の生前、他の兄弟よりも特に受益があった人がいれば(例えば、弟さんの1人がマンション購入の際、お父様に頭金を負担してもらっているケース等)、それも考慮する必要がありますし、話合いがまとまっても、遺産分割協議書を作成する必要があるので、弁護士が関与した方がスムーズに進みます。仮に、互いの主張が折り合わない場合は、各々が弁護士に依頼をして交渉することになります。
3 家庭裁判所に
遺産の分割請求をする方法
弁護士が関与しても共同相続人間で話合いがまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割請求の訴訟を提起することになります。
(1)相続放棄による方法、(2)当事者間による遺産分割協議による方法、(3)家庭裁判所に遺産の分割請求をする方法の3つの方法があります。
【解説】
1 相続放棄による方法
お父様が亡くなってから原則3か月以内に、2人の弟さんに相続放棄の手続きをしてもらう方法です。家庭裁判所で手続きをする必要があるので面倒ではありますが、弁護士に依頼しなくてもできる手続きです(相続放棄自体の詳しい説明は弁護士に聞いた方が安全です。)。
ただ、相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったことになります。その結果、仮に水田の他にも不動産や多額の現金・有価証券等の相続財産がある場合、それらの相続権も失うことになるので、弟さんが相続放棄を拒否する可能性が高いです。逆に、お父様が多額の借金やローン等のマイナス財産を残している場合、2人の弟さんが相続放棄をすると、ご質問者様が1人で水田を相続できる一方、このマイナス財産も1人で相続することになるので注意が必要です。
2 当事者間による
遺産分割協議による方法
2人の弟さんと話合い、どの財産を誰がどのくらい相続するかを決める方法です。例えば、ご質問者様が水田を単独で相続する代わりに現預金は2人の弟さんが折半する方法や、水田以外にめぼしい財産がない場合、ご質問者様が水田を単独で相続し、水田の評価額等から計算した一定の金銭を2人の弟さんに支払う方法もありうるでしょう。
この方法は裁判上の手続きではありませんが、単に現存する財産を分割すれば良いという単純なものではなく、お父様の生前、他の兄弟よりも特に受益があった人がいれば(例えば、弟さんの1人がマンション購入の際、お父様に頭金を負担してもらっているケース等)、それも考慮する必要がありますし、話合いがまとまっても、遺産分割協議書を作成する必要があるので、弁護士が関与した方がスムーズに進みます。仮に、互いの主張が折り合わない場合は、各々が弁護士に依頼をして交渉することになります。
3 家庭裁判所に
遺産の分割請求をする方法
弁護士が関与しても共同相続人間で話合いがまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割請求の訴訟を提起することになります。
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戸出健次郎 トデケンジロウ
弁護士
平成12年 学習院大学法学部卒、平成19年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、平成22年 悠綜合法律事務所パートナー、平成22年度第一東京弁護士会代議員、専門分野:農業分野(法務、税務)、不動産関連業務。
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