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実践講座:したたかな農業を目指す経営管理 入るを計り出を制す!

投資其ノ一 農地の規模拡大、「土地は縁もの」である

世界の人口爆発と穀物の絶対的な不足。いわゆる食料危機は学生の頃から農業問題の基礎としてたたき込まれたが、父によれば「俺の学生時代にもよく聞かされた」と。オオカミ少年の童話とまでいかなくとも、実感が湧かないのが現実である。最近衝撃を受けたのは、某テレビ局の取材班がまとめた世界農地争奪戦「ランドラッシュ」だ。解釈はさまざまだろうが、私はオオカミが迫る気配を感じた。経済と密接な世界の食糧事情から、農地の重要性を実感した方も多いはずである。
さて、これから3回は投資と題して、(1)農地の規模拡大、(2)トラクター購入時の注意点、(3)新規作物の導入、について解説していく。グローバルな農地への投資はさておき、ここでは経営資源の筆頭、農地とその規模拡大について考えていきたい。

農地の価値とは

一部の法人の方を除いては、一年の計である営農計画を樹立し、経営が新年度を迎えたことであろう。私も初めて作成した営農計画書を、JAに提出したばかりである。メインバンクがJAの場合、営農計画書の提出により運転資金の必要額が決まり、併せて抵当権の設定により資金の供給限度額が設定される。現在は物的補償が貸し手の常識である。父祖伝来の農地が、担保物件として経営に寄与する。農地の利用がない畜産や施設の経営を除けば、資金供給の面から見ても、農地なくして農業経営は成立しない。
一方、政治家の子は政治家、医者の子は医者と同じく、農業の継承も圧倒的に世襲が多い。ノウハウ、資本財、経営基盤などの継承が容易で、とりわけ長子相続の名残からか長男の継承が多い。私も長男であり、後継者と認められて農業経営者の仲間にしていただいた。そうかと思えば、一等地とはかけ離れた山間部のわずかな農地から経営を始めた新規就農者で、たった数年で莫大な所得を得た、経営者も普及指導員時代に目にしてきた。原料を生産することだけが目的で、食糧増産期に与えられた農地の規模拡大=所得増の神話ではなく、ビジネスチャンスとして農業が成立することを証明しているのである。
もう一つ、員外地主と称される町外の人が、分割所有する農地が増加し困っていると、昔担当した役場の方から耳にしたことがある。平らで利便のよい土地などは「俺の土地だ、オレの勝手だ」と、賃貸の斡旋がなされないまま、耕作放棄されている場合もあるのだと。農地の一等地は、実は他に転用がきく土地でもある。こうなると農地も、単なる不動産物件に過ぎない。
これらの事柄から、経営資源として農地を有効に活かし、所得を高めていくために一番大切なことは、経営者の手腕である。農地は耕す人次第で、その利益・価値は増減する。

規模拡大時の心構え

現在の日本国内の食糧需給状況を見ると、絶対的な消費量は頭打ちで、さらに穀類では輸入も影響し、政策や農業団体が自主的に行なう生産制限が続いている。助成金や所得補償をしたたかにいただいたにせよ、穀類生産から生み出される利益が多いとはいえない。この状況を踏まえて穀類主体の経営の利益を設定し、農地の購入価格について考えてみるとしよう。
図1は資本回収法で試算した、購入価格の上限値である。売買の実勢価格が、試算値と見合ってこないと感じる方も多いのではなかろうか。賃借も売買価格に呼応して設定されており、購入資金を工面できたとしても、負債総額が大きくなり経営者として不安を抱えてしまう。農地の規模拡大は、度胸の強さなのかと考えてしまいそうになる。

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