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そんななか、(1)~(4)の組み合わせをうまく行なっている農家がいる。敵(害虫)をよく知り、味方(天敵)を上手に使って、他の方法と組み合わせる。そうすることで不必要な農薬散布も減らせるだろう。
天敵昆虫の使用で
化学農薬のコスト削減へ
では、筆者が実践してきた3段階の天敵昆虫の使い方を述べる。天敵昆虫を使っていると、徐々にその生態が理解できるようになっていく。天敵昆虫の無駄な利用から共存へとステップアップするにつれ、その利用の仕方も変わっていくことになる。
余談だが、筆者は、ハチやアブ、ハエなどの放し飼いでハウス栽培の野菜はすべて地上部への薬剤散布を0回にしており、根菜類で土壌に施用する粒剤の一部使用にとどまっているレベルである。
ステップ1:
市販されている天敵昆虫の利用
コストがかかってもまずは使ってみないとわからない。少しでも天敵昆虫を使って化学農薬を減らしてみるところから始める。
市販されている天敵昆虫には次のようなものがある。ナミテントウ、オンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、イサエヤヒメコバチ、ショクガタマバエ、コレマンアブラバチ、タイリクヒメハナカメムシ。ダニ類では、チリカブリダニやミヤコカブリダニ、ククメリスカブリダニ、スワルスキーカブリダニなど。ちなみに、テントウムシは1匹100~200円はする。値段を聞いてびっくりする人も少なくないだろうが、冬など通常では存在しない時期のものは貴重である。実際は施設栽培でないと効果を発揮しないものが多く、化学農薬との併用は難しい。農薬による天敵昆虫の死亡や逃亡(リサージェンス現象)があり、中途半端だと天敵昆虫を使っては殺し、また使っては殺してしまう繰り返しで、逆にコストがかさむ可能性も否めない。とはいえ、まずは使ってみることが大切である。
ステップ2:在来の天敵昆虫の利用
市販されている天敵昆虫の生態がわかってくると、もともと畑にいる在来の天敵昆虫も応用して使えるようになる。たとえば、ナナホシテントウやダンダラテントウ、ヒメカメノコテントウ、ヒラタアブ類、オオメカメムシなどがそうである。
同じ圃場内にいる天敵昆虫は移動させて使うことができる。すると、高価な天敵昆虫を購入しなくても済むため、市販の生物農薬のコストが抑えられることになる。
実は市販の天敵昆虫はその畑の状態やその時期に合わせることがとても難しく、一方でその畑にその時期にいる在来昆虫を使うほうがより簡単で、死なせずに使いやすい。一つ注意が必要なのは、市販されている天敵昆虫とは違い、在来昆虫は寄生などによる失敗のリスクも高いことである。
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小川幸夫 オガワユキオ
大学卒業後に農業機械メーカーへ入るも、自身が思う理想の農業を目指すため、2001年に千葉県柏市の実家の農業を継ぐ。畑は1町5反、うち4反がビニールハウスで年間100品目の野菜を生産している。 20年前まで地元の市場に個選でネギを出荷していたが、ネギの価格が低迷したことを受けて自宅裏に直売所を設け、色々な野菜を作って地元の消費者に販売するようになる。現在は地元の百貨店や高級スーパーにコーナーを構えてもらっての販売のほか、大型直売所や年間200回以上の朝市での販売、また地元レストランをはじめとしたくさんの飲食店に野菜を供給している。
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