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人生・農業リセット再出発

EUGLENA

飢餓で骨と皮になった子どもたちの妙に腹部が膨らんでいる写真。国連は食料を送り込む。ところが、現地では米や小麦粉などは山積みにされるほど余っているのだ。なぜ栄養失調なのか? 筋肉と血管は同じ栄養分から作られる。炭水化物からだけでは血管は作れずにもろくなり、水分が漏れて腹部にたまる。栄養失調は、タンパクや脂質類が足りずに偏っていることをいう。人が健康に生きるには栄養素をバランスよく摂取する必要がある。
大きな魚は小魚を食べ、小魚はプランクトンを食べる。プランクトンの餌は食物連鎖の原点にある「ミドリムシ」である。学名「EUGLENA(ユーグレナ)」は、ムシというからには青虫を想像するが、昆布などの植物藻類を指す。体長0.05mmの微生物、小さな体に無限の可能性が秘められている。植物と動物の性質を持つ生物だから、野菜のビタミンC、アミノ酸に加え、魚の不飽和脂肪酸など栄養素は59種類。人間が生きるのに必要な栄養素の大半をミドリムシは持っている。光合成での生産効率は稲の約80倍。高い栄養価のミドリムシは未来食材として期待され、CO2削減と酸素供給の光合成は温暖化、環境汚染の防止に役立つ。油はグリセリンが混じっていないのでジェット燃料として飛行機を飛ばせる。宇宙船では簡易な食料となり、船内の二酸化炭素で生育して酸素を供給するなど、食料・栄養・環境・エネルギー問題を一挙に解決する人類の救世主になる。すぐに活用したいものだが、大きな問題点がある。食物連鎖の始発点にあって栄養満点だからこそ、他の微生物が猛烈に食い荒らす。人間の手によって培養しようにも、雑菌ですぐに全滅するほど難しく、養殖に成功した者は世界中で誰もいなかった。
1980年生まれの出雲充は、東京大学文系に入学。国連に入って、貧しい国々の援助活動が夢だった。大学1年時に最貧国バングラデシュを訪問、本当の飢餓とは栄養バランスの欠如だと痛感する。国連では救済できないと、00年に東大農学部へ転部。食料と環境問題を解決するミドリムシ研究をしている鈴木健吾と出会い、培養できないかと日々没頭する。断念して銀行に入行するが、やはり夢は捨て切れずに1年で退職する。その後、東大先輩の堀江貴文・元ライブドア社長と縁がつながり、六本木ヒルズに事務所を置いて培養開発を進める。微細藻類のクロレラを培養して成功している愛媛県の会社、福本拓元と知り合い、力を貸してもらう。

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