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特集

外食チェーンの調達方針

青果などの農産物は、小売業か外食産業かによって求められる品目、品種、量が異なり、さらに、外食産業の中でもチェーン展開しているのか、個人経営のレストランなのか、その業態や経営スタイルによっても青果に対するニーズは異なってくる。 今回は、産直流通事業者や青果市場を通じて青果を調達している大手・中堅の外食チェーンの現在のニーズを明らかにし、契約栽培はもちろん、外食産業向けの青果の作り手として今後取り組むべきことは何かを探る。 (文/齋藤訓之、岡本信一、平井ゆか 編集/永井佳史、平井ゆか)


農産物の量と質の不安定が
日本の外食産業最大の弱点

外食産業は、その時代ごとの発達した物流網と先進的なテクノロジーを集約して高効率・高収益の仕組みを作り上げてきた飲食提供のシステムだ。ところが、我が国の外食産業の場合、およそ先端的産業とは言えない未発達の部分を抱えている。ほかならぬ国産農産物の調達こそが、日本の外食産業の最大の弱点だ。

【外食産業のテーマは高品質の大量提供】

日本の外食産業はこの50年ほどの間に大きく成長した産業の一つだ。その市場規模は約23兆2000億円(2012年・外食産業総合調査研究センター推計による)。ピークの29兆1000億円(97年・同)に比べれば縮小したが、国民一人当たり年間18万円使っている計算となり、依然として大きなビジネスであることに変わりはない。
ただ、この市場推計には家族経営の小規模な食堂や喫茶店なども含まれているが、「外食産業」と言った場合には、その事業の一部または全体が“工業化”されているものを指すのが普通だ。つまり、注文を受けてその都度イチから料理を作り始めるのではなく、ある程度ないしほとんどすべて加工したものを用意しておいて、注文が入ってからの工数が少なく効率的に商品を提供する仕組みを持った飲食業が産業化した飲食業(外食産業)だと考えられている。その代表は外食チェーンと集団給食(社員食堂等)だ。
たとえばハンバーガーチェーンなら、規格品のパン(バンズ)、冷凍ハンバーグ(パティ)、カット野菜等を店舗に持ち込み、パティをグリドル(鉄板)で焼き、バンズを軽く温め、それらをハンバーガーに組み立てて提供する。かつては組み立て終わったものを保温庫に一時保管(ホールド)していたが、近年は店内調理の全工程を秒単位で行なう仕組みを持って、受注生産(ツーオーダー調理)するようになってきた。
ファミリーレストランチェーンや居酒屋チェーンも、仕事の構造はファストフードチェーンと同じだ。焼く、炒める、電子レンジ加熱する等だけで仕上がるようにした食材を冷凍などで用意しておき、簡単な調理をして食器に盛り付けるだけで商品を完成できる仕組みを持っている。
なお、こうしたタイプの仕組みを持って10店以上を展開している飲食店でなければ、複数店舗を展開していても外食チェーンとは呼ばない。
ここ20年ほどの間には、金属製のコンベアに材料を乗せると自動的にオーブン焼きされて出てくる調理器(コンベアオーブン、ジェットオーブン)や、高温スチームで煮る・焼く・蒸す等の調理を一度に大量にこなす調理器(スチームコンベクションオーブン)などの高性能調理器が普及し、さまざまな調理が自動化・合理化されるようになってきた。
サラダなど生野菜も一人前のカット野菜が個包装されて店舗に届き、注文を受けたらこれを開封して皿に盛り付けるだけで商品が完成するように設計されている場合が多い。

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