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特集

外食チェーンの調達方針


ところが、日本の外食産業の場合、およそこうした最新・最先端の産業とは言えない部分を一つ抱えている。それが国産農産物の調達だ。

【国産の欠点をカバーする卸・加工業者の不眠】

筆者は野菜等農産物を調達するバイヤーと産地を訪ねるなど、彼らに同行することがままある。外食チェーンのバイヤーであることも、外食チェーンや事業所給食などの外食産業に青果やカット野菜を供給する会社のバイヤーであることもある。ところが、とくに後者の場合、一緒にいるその人の携帯電話が鳴り止まないことに驚かされるものだ。
とくに午前中が多いが、時間帯を問わず携帯電話は鳴り、話し終わるそばからまた鳴り出すか、その人自身がまた別の人に電話をかけてと、一日の半分以上の時間を電話に取られているように見える。だから、一緒にいてもその人とのまとまった会話はほとんど期待できないし、その人が運転している車に同乗していれば半日冷や汗をかくことになる。
目の下にはクマ。聞けば、昼間は商談・視察・荷の確認や工場の管理等で車で移動し続け、夜には工場に戻ってラインの作業に加勢することも多い。その間も携帯電話は鳴り続ける。休日返上ということも多く、仲間と時間をやり繰りしながら当たっている。家族との団らんなどにもなかなか時間が取れないだろう。
なんでこの人がこんなにたいへんな毎日を送らなければならないのかと、いつも考えさせられる。

【品質・こだわりは量がそろっての話】

ひっきりなしの電話でバイヤーが話しているのは「○○チェーン用のレタスが□□ケース足りない」「産地△△でトマトが◇◇トン余っているが需要先はないか」といった内容で、互いに産地・同業者・需用者の情報を出し合い、脈がある組み合わせを見つけてはつないでいるのだ。
これを「外食チェーンがわがままだからバイヤーが眠れないほど働いている」と理解すれば、話は終わりだ。しかし、「生産者側で外食チェーンの要望に応えられていないから間に立つバイヤーが身を粉にして働いている」。したがって、「生産者側で外食チェーンの要望に的確に応えれば、バイヤーの仕事を軽減し、彼らが得ている収益を生産者側で得ることができる」とも考えられる。今回本特集が推奨したい“付け目”はそこだ。
では、生産者側で応えられていない外食チェーンの要望とは何か。前ページの外食産業が持つ仕組みの狙いを見れば、自ずと明らかになる。

(1)高鮮度:着荷時点で新鮮であり、最終提供時まで鮮度を保つ。

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