ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

小さな顧客と価値を共有する経営者たち


「味に関しては親にも譲れない。製茶の前に、肥料とか農薬とかから考えないといけない。魚の肥料は、人が食べられるようなものを使っています。
さらに大事なのは原葉です。例えば、ハサミはあまり深く入れず葉の厚みを残すようにしないと、根に負担がかかってお茶は疲れてしまいます。芽が出たらどこまで芽を落としたらいいかも大事です。葉に力がないお茶は、蒸したときに黄土色になることもあります。すごく臭いです。よく、世代が代わるとお茶の味が変わるっていわれるけど、そんなところが理由なんでしょうね」
ブランド化しているので、価格は高めに設定しているのかと思うと、むしろ小売店より低価格帯に設定している。直販なのでマージンがかからず安くできることもあるが、大きな理由は、地元の人たちに「おいしい」と言ってほしいためだという。
「高くして商品の価値を高く見せる、というのもあるかもしれないけれど、高いと、お客さんからおいしいって言葉が出てこなくなる。この値段なのにおいしいと言われたいです」

【風土を生かしたブランドで顧客と楽しむ】

「龍神茶健」と「姫の里」の二つのオリジナルブランドは、荻野氏が、富士市大渕地区の風土から発想したものである。製品そのものの味や香りに加えて、それらに影響する風土のイメージもブランドの価値の大きな要素としている。
その風土とはどんなものだろう。
荻野製茶は、富士市大渕地区の中でも最も高いエリアにある。昼は晴れて、夜は霧がかかり茶葉を保湿する。自分の家に車で帰るのに、茶畑に落ちてしまったことがあるほど霧が深い。
「霧はお茶にいいんです。霧がかかるので神秘的な感じを表現したいと思いました。霧がかかった中の神秘的な存在といえば龍。龍をモチーフにして、霧で保湿されたお茶を飲んで健康になろう、とアピールしようと思い、『龍神茶健』としました」
一方、新たに増やした茶畑は、富士市の中でも標高が低い位置にある。そちらを「姫の里」とした。
二つのブランドの世界観を感じてもらうために、実際に荻野製茶の茶畑や製茶工場、「茶空間Ogino」を訪れてもらいたいと考えている。「茶空間Ogino」には、荻野氏が考えるブランドの世界観の全体を表すジオラマが展示されている。また、その世界観はホームページやパッケージなどでも表現している。
ブランドのプロモーションとして、これまで、販売・試飲スペースの「茶空間Ogino」での試飲を含め、茶畑や稼働中の製茶工場の見学、子供たち向けのイベントなどを開催してきた。

関連記事

powered by weblio