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【紀平真理子のオランダ通信】
なぜ日本人はMade in Japanにこだわるのか?(2)
- 紀平真理子
- 第9回 2014年03月19日
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この発想が昨今、ヨーロッパでトレンドの「Urban farming」(都市型農業)につながるのだと理解した。とくにオランダ人は、海抜0m以下に位置する国のため、地球温暖化による海面の上昇で国が沈むリスクを他国よりも懸念しており、環境問題に注力している。また、輸入食品の安全性に関しては昨年、ヨーロッパで馬肉トラブルがあったにせよ、「オランダ(ヨーロッパ)に入ってきている時点で安全であると信じている」という回答があった。これは、国民が検疫制度を信頼していることを表している。
一方で、20代の若い世代は原産国を気にせず、そもそも気にしようと考えたこともない人が多かった。大学生や大学院生は安くておいしいことに越したことはないというのがその主張で、「価格の高い理由が明記され、それに自分が納得でき、なおかつ味もおいしければ購入する。国産だから高いというのは明白な理由にならない」と論理的で実利的なオランダ人らしさ全開で語ってくれる人がいた。
ただ、オランダ人やオランダに住む外国人にも購入NGの原産国があるのはたしかである。とくに有機栽培にこだわるグループには、政治的理由での不買運動や化学薬品を多く使用していると考えられる国(中国やアフリカがよく例に挙がった)からの作物はできるだけ買わないよう努めている人もいた。たとえば、中国産の野菜をイタリアで瓶詰めして「イタリア産」のラベルが貼られているケースや、アフリカで育てた苗をヨーロッパに持ってきて「ヨーロッパ産」とうたうケースから、原産国が信頼性を失ったことで購入NGになるという点は、日本人が食品トラブルが重なった中国産を好まない理由と同じだ。さらに話を続けると、「オーガニックの種や苗を使用しているとうたっていても農家の腕が悪く、化学薬品を多用しているケースもあるし、反対にアフリカ産と書いてあってもオランダの農家がアフリカに移住して育てた作物を逆輸入するケースもあるので、とにかく自分自身で判断することが大切だ」と冷静に教えてくれた。
一方で、20代の若い世代は原産国を気にせず、そもそも気にしようと考えたこともない人が多かった。大学生や大学院生は安くておいしいことに越したことはないというのがその主張で、「価格の高い理由が明記され、それに自分が納得でき、なおかつ味もおいしければ購入する。国産だから高いというのは明白な理由にならない」と論理的で実利的なオランダ人らしさ全開で語ってくれる人がいた。
ただ、オランダ人やオランダに住む外国人にも購入NGの原産国があるのはたしかである。とくに有機栽培にこだわるグループには、政治的理由での不買運動や化学薬品を多く使用していると考えられる国(中国やアフリカがよく例に挙がった)からの作物はできるだけ買わないよう努めている人もいた。たとえば、中国産の野菜をイタリアで瓶詰めして「イタリア産」のラベルが貼られているケースや、アフリカで育てた苗をヨーロッパに持ってきて「ヨーロッパ産」とうたうケースから、原産国が信頼性を失ったことで購入NGになるという点は、日本人が食品トラブルが重なった中国産を好まない理由と同じだ。さらに話を続けると、「オーガニックの種や苗を使用しているとうたっていても農家の腕が悪く、化学薬品を多用しているケースもあるし、反対にアフリカ産と書いてあってもオランダの農家がアフリカに移住して育てた作物を逆輸入するケースもあるので、とにかく自分自身で判断することが大切だ」と冷静に教えてくれた。
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紀平真理子 キヒラマリコ
1985年、愛知県生まれ。2011年、オランダへ移住し、食や農業に関するリサーチ、本誌や馬鈴薯専門誌『ポテカル』への寄稿を開始。2016年、オランダVan Hall Larenstein University of Applied Sciences農村開発コミュニケーション修士卒業。同年10月に帰国し、農業関連記事執筆やイベントコーディネート、海外資材導入コーディネート、研修・トレーニング、その他農業関連事業サポートを行なうmaru communicateを立ち上げる。今年9月、世界の離乳食をテーマにした『FOOD&BABY 世界の赤ちゃんとたべもの』を発行。食の6次産業化プロデューサーレベル3認定、日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。
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