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弁護士・戸出健次郎の困ったときの相談と転ばぬ先の杖

第1次産業を6次産業化する際の法的リスク

【質問】

私は現在専業農家ですが、将来のために、第2次・第3次産業に積極的に参入して経営規模を広げ、競争力をつけたいと考えています。そこで、これまで1次産業に従事していた者が6次産業化に取り組むにあたり、どのような法的リスクがあるのでしょうか。

【回答】

一般的な企業が抱える法的リスク、具体的には、(1)「お金」に関係する法的リスク、(2)「人」に関係する法的リスク、(3)「市場」に関係する法的リスクを負うことになります。

【解説】

1 「お金」に関係する法的リスク
(1)債権管理のリスク
現状、多くの専業農家の最大の「取引先」はJAです。JAと取引をしている限り、債権(売掛金)回収に対する不安はないと思います。
しかし、本格的に第2次産業、第3次産業に参入することになれば、必然的に自主流通ルートがメインになります。自主流通ルートにおいては、これまでより大きな利益を得られる可能性がある一方で、債権管理は自己責任となるので、売り物は渡したのに代金を払ってもらえないというリスクが発生します。これは、多くの一般企業が抱えているリスクそのものです。これを回避するためには、取引先の与信管理及び契約書の作成が最低限必要です。
(2)税務・経理のリスク
6次産業化により、業務内容が多角化するため、経理が複雑になることは確実であり、それに伴い税務も素人では手に負えなくなります。
そのため、経理の専門スタッフを雇用する必要が出てくるのはもちろん、いつでも相談できる税理士の存在も不可欠となるでしょう。

2 「人」に関係する法的リスク
家業として農業を営まれていた方々は、「労務管理」についてあまり意識をする必要がなかったかもしれません。
しかし、6次産業化に伴い、従前よりも多くの人を雇用する必要がありますが、従業員が増えると様々な法的問題が起こります。私は中小企業の顧問先を多数もっていますが、経験上、従業員30名前後になると残業代請求、パワハラ・セクハラ、不当解雇等の問題が発生しはじめます。そして、従業員50名を超える企業では、うつ病で働けなくなる従業員がいることが珍しくありません。
そのため、経営者として就業規則を定めるなど、日頃から「労務管理」に気を配る必要があります。

3 「市場」に関係する法的リスク
第2次・第3次産業に参入することにより、消費者からの直接的な評価に晒されます。そして、今般のネット社会では、良いクチコミも悪いクチコミも、あっという間に拡散します。その上、食品の品質や表示偽装に対する消費者の目は、これまでにない厳しさがあります。そのため、ちょっとしたことでクレーム・風評被害・誹謗中傷につながるリスクがあります。

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