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岡本信一の科学する農業

丁寧な作業の積み重ね以外に、近道はない


経営が安定し歩留まりも良い農家というのは、同じ作業をしていてもそのことをきちんと理解した上で作業をしている。大型機械を導入してもその部分を疎かにしない。作業の意味を理解しないまま、機械化を進めると、効率が上がらないばかりか、逆に歩留まりを下げる要因を作ってしまうことになる。
日本の農業の特徴としては、温暖かつ雨の多い気象条件に、土壌の条件も非常に多岐にわたる。同じ地域でも、同じ圃場でも複数の異なる土質が混在していることも普通である。どうしたら最適な環境を作れるのかを常に考えながら、作業を行なわなければならない。海外と比べれば圃場の大きさも小さいので、日本独自のきめ細かい対応は必須だ。
大型経営に移行した際に問題になるのがこの辺りで、一人で作業をしている場合にはすべてを無意識のうちに把握して作業を行なっており、最適な状態が保たれる。しかし、オペレーターを雇うと、圃場の条件を理解しておらず、また作業に集中しているためにその他の要因に目を向けないことも出てくる。これまで作業をしていた人も何が重要なのかを伝えなかったり、上手く伝えられなかったりするのである。そうなるとそれまで精緻に行なわれてきた作業が、少し荒れてくる。すべての工程に少しずつ現れたその差が結果として大きな違いとなって現れる。このあたりが大型経営に移行した際の問題点なのだ。
圃場での揃いは非常に重要である。見た目のきれいな畑で大きさも揃い、生育も揃っている圃場というのは見た目だけではなく、ほとんどの場合は経営、収量、品質、歩留まりに好影響を与える。
圃場での出来を揃える。まずこれが栽培の基本中の基本であり、特別な資材を使用しても、最新技術を導入しても、圃場での出来が揃っていないとそれらを有効に活用できないのである。以上の観点を頭に入れて一度、圃場を良く観察し、作業工程を見直してみてはいかがだろうか。

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