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海外レポート

タイ・チェンマイを訪ねて トウモロコシ生産を考える


機械化されているのは、耕うん作業と畝立作業で、播種や施肥は手作業で行なわれる。最近、中国製の手押し式の播種機も一部で導入されている。
圃場の条件によって異なるが、畝立栽培のほかに、平坦なまま縦横に溝を掘るだけのやり方もあれば、稲株が残ったままも状態の圃場に穴を開けて播種していく「不耕起栽培」もある。その場合は、耕す代わりに、砂で覆土し、発芽を促進する。
収穫作業は手作業で実の部分だけをもぎ取るのが一般的だ。その後は、ロータリーで茎葉を音を立てて一気に鋤き込む。一部の大規模農家はタイ国内メーカーの汎用コンバインやジョンディアのコーンヘッダー付きのコンバインを導入し、作業受託で収穫面積を確保しているという。集荷業者が所有している場合もあるようだが、いずれにしても興味深いのはトラクターよりコンバインの方が普及が進んでいるという話だった。

農家がトウモロコシを
選ぶ理由

チェンマイ北部で約1haを耕作する農家のチェジさんは、「稲作に比べて作業手間がかからないため、トウモロコシを選んでいる」と話す。訪れた際、圃場脇にある井戸は圃場近くの井戸は枯れており、河川より高い場所にある近隣の河川からチューブで水を引いて灌がいしていた。ここでは湛水状態を保つのは厳しいようだ。圃場間は水が移動しやすいように川に向かって落差がついているが、作物の選択は水利条件次第という印象を受けた。
水稲の買取価格が政情によって変化するのは、日本の政策とも共通するが、トウモロコシは買取価格のブレが少ないため、リスクヘッジができているという見方もある。現在、コメは籾ベースでキロ約15バーツ(約47円)、トウモロコシはキロ7~8バーツ(約22~25円)というのが生産者段階での買取価格だ。現地で聞いた収量は600~700kg/10aという。収穫物の買取価格以外に政府からの補助が出ないため、価格変動に振り回されない作物選びも農家側に委ねられているようだ。
一方、中山間地の種子用トウモロコシの生産地域では、国営の灌がい設備が整備され、圃場の間のコンクリート製の水路に水が流れていた。種子用の親種の生産は、雄雌品種を交互に植えつける。少し作業体系は異なるが、ピアサ・リジャンの経営する2haは3つの圃場に分かれていて、10人の労働者を雇って作業をするという。最低賃金は1日当たり300バーツ(約910円)で、播種作業から管理作業、収穫作業まで雇い入れても、十分利益は出ている。

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