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【シリーズ水田農業イノベーション】
座談会 現場の経営者が思い描くこれからの水田農業
- 編集部
- 2014年04月21日
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地域の風土に合った経営の形
――今日はお集まりいただき、ありがとうございます。それぞれの水田経営のお話を大いに語っていただきたいと思います。まずは、関根さんから自己紹介をお願いします。
関根正敏 標高80mくらいの関東平野で一番平らなところで施設、花卉、トルコキキョウをメインにやっていて、その他に米麦の関係の農事組合法人で経営をしています。群馬県前橋市は二毛作地帯なので、麦とお米の二毛作ですね。今年の水稲の作付けが新規需要米を入れて75haくらい。麦が同じく75ha。それとジャガイモなどの露地野菜で5haが主な経営です。加えて、コントラクターの組織で飼料稲の刈り取りを25haやっています。
――新規需要米というのは?
関根 稲WCS(ホールクロップサイレージ)と飼料米ですね。今年は主食用が50haくらいで、稲WCSが17ha、残り8haが飼料米の予定です。作業受託の部分はうちでこなせるんですけど、農事組合法人の作業は、10人の組合員と二人の正社員で機械を持ち合って、あとは地域でやれる人にやってもらって、こなしているような状況です。
――続いて、小泉さんお願いします。
小泉輝夫 私は千葉県成田市でコメ単作が中心です。水稲の面積は35haくらいで、大豆が5haですね。区画が狭くて、圃場条件が悪くて、乾田直播が厳しいところです。圃場面積の平均が12aとかなので。
関根 平均12aですか? よくその圃場でその面積をこなせますね。
小泉 正直、自分でもびっくりしています(笑)。田んぼは水を保ち過ぎるところなので、暗渠入れて乾かして、プラウかけて、レベラーかけて上っ面を踏むみたいな形にして、何とか仕事をしている感じです。火山灰土、砂、ケド土、粘土、じょう土、沖積土……あらゆる土質があって、一部は冬場にプラウをかけないと代かきにならないところもあったりしますね。
―作業人数は?
小泉 父と二人です。何が大変かと言えば、水稲育苗のハンドリング。種まきのときなどは同級生仲間が来て、現物支給で手伝ってくれます。水利設備がないなど条件が悪くてコメがつくれないところは、大豆や緑肥で展開したりするんですが、それもそろそろ厳しくて、転作などいろいろ考えています。
――次に、川中子さんお願いします。
川中子康文 私は後継者でもあり、経営主でもあって、家に経営体が二つある状態です。栃木県の下野市で、私の伯父が野菜の苗づくりで成功したのを親父が引き継いで、今では毎日大型トラックが取りに来て、日本中に出荷するほどになっています。私も高校を卒業して家業に入って同じようにやり始めました。とにかく毎日チマチマ種を播いて、その後は植え直しで鉢上げしてって。でも、まだ若いので、こんなことはやりたくないって感じでした。近所にジョンディアとかでブァ~と走っていく人たちがいたので、俺もあぁ~なりたいと。そこから親に相談して、「俺は米麦をやりたいからそっちをやる」と伝えて、米麦を始めました。
小泉 今も親御さんは野菜の苗の生産をしていて、自分で利用権設定とかして田んぼや畑を借りてるの?
川中子 そうです。完全に別で。親父はコメも麦も全部触らないので。
――始めたのはいつ頃ですか?
川中子 米麦のほうはゼロからのスタートで4年目に入ったと思うんですけど、今、40haくらいです。
――では、同じ栃木県の黒内さん、お願いします。
黒内智治 うちは高根沢町で基本的に酪農と水稲と麦と飼料作物をメインにやっています。酪農は搾乳牛が60頭、育成が35頭、全部で100頭欠けるくらいですね。水稲は16haくらいで、稲刈りなどの部分委託と合わせて22haくらいかな。その他、牧草のイタリアングラスが8ha、ビール麦が8ha、その裏作にデントコーンが17ha。あとは、耕種農家がつくっている稲WCSの収穫・梱包が15haと、稲ワラわらの集積が40haほど。オペレーターとしては俺と親父だけで、うちは家族労働です。
耕作放棄地の再生で規模拡大
――それぞれ個性がありますね。まず驚いたのは、川中子さんの米麦ですね。どうやって始めたのですか?
川中子 親父が家で食べる分として2~3haの田んぼをつくっていたんですよ。その分と、別に5haくらい借りて始めました。機械も33馬力の20数年前のトラクターとコンバイン4条刈り1台程度だったので、とりあえず60馬力のトラクターを買ったんです。それで、草が生えているような圃場を見つけて、近所のおばちゃんらに「あそこの持ち主を教えてくれ」って聞いては、飛び込みでその家に訪問して「つくりたいんだ」って話しました。
黒内 その格好で行ったの?
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