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今年の市場相場を読む

果実的野菜が不況で受けた影響 イチゴ類/スイカ類/メロン類/アールスメロン

果実類は、野菜のような必需品ではないため、不況下での購買頻度や購入金額はどうしても減少する。ただし、果物といわれる品目のうち、永年果樹である柑橘類や落葉果樹などは抜根しない限り毎年生産が続くために劇的な変化は見られないものだが、果実的野菜については野菜同様に相場の変化に連動して容易に増減する。過去20年に近い長い不況のもと、果実的野菜類は大きく影響を受けたものの、その一方で減少傾向を不況だけに限定してはならないものもある。今後、日本経済が不況を脱する方向に動き出したとき、どんな品目が捲土重来を期待できるのか否か、その条件があるとすれば何かを考える必要があるだろう。

イチゴ類
豊富なバラエティーで減少を緩和、さらに強まるオリジナル・多品種化

【概況】
東京市場におけるイチゴ類の入荷を1993年と2013年で対比すると、入荷量全体では15%の減少程度にとどまり、平均単価もほぼ同じだ。大きく変わったのは、東日本の「女峰」と西日本の「とよのか」の2大品種時代から、栃木県の「とちおとめ」がシェア4割の絶対的主産地となり、同じ品種を栽培する茨城県とで5割超になったことだ。また、福岡県独占の「あまおう」が3割高で、シェア18%の2位につける。

【背景】
現在では県別品種時代ともいえる状態になっており、佐賀県を中心とした「さがほのか」、静岡県の「紅ほっぺ」等々、特徴ある品種の多様化時代といえる。かつての埼玉県や愛知県のシェアが落ち、茨城県の躍進と主産県栃木県がこの20年で17%も入荷増となっているのが目立つ。全体的な産地集約化、クリスマス需要のある12月の入荷減や6月には切り上がること、業務用中心の夏イチゴの入荷が減少傾向にあるなどは、やはり不況の影響だろう。

【今後の対応】
イチゴ類が結果として不況で大きなダメージを受けなかったのは、県別品種というオリジナル性と多様化である。そして今後も、さらにその傾向は強まるだろう。高級品種として栃木県の「スカイベリー」、茨城県の「いばらキッス」、また宮城県の「もういっこ」や奈良県は従来の「アスカルビー」に加えて「古都華」、香川県の「さぬき姫」など、オリジナル品種を強化しようとしている。長崎県などは業務需要向けの「ゆめのか」に力を入れていく。

スイカ類
大玉は3分の1だがコダマは健在、潜在需要はカット用の専用品種に

【概況】
東京市場のスイカ類は、93年と13年を対比すると34%も入荷が減った。最も目立つのが11月から出荷されていた沖縄が泡沫産地に、春先までの熊本が大幅減になったことだ。早出しの単価の高い時期に激減し、7月に大きなピークを形成して安くなるという、まさに不況に対応した入荷動向になっている。ただし、コダマスイカはこの間、ほとんど減っておらず、北関東の主産地が減った分、熊本が大玉から転換している。

【背景】
後半産地である長野から東北は、長野産が不動なのに比べ、山形、秋田などが減少し、代わって北海道産が増えている。近年は残暑が厳しい年が増えている分、後半の産地にも有利性が増しているといえるが、やはり当たり外れのリスクがある。そのため、中小の伝統的な専作産地より、生産品目が多角化している大型野菜産地が代替してきている感がある。年間を通じて入荷が平準化する傾向が、夏にピークがある本来の季節果物になってきたか。

【今後の対応】
商品的に見ても、小売店でのカット販売に向く大玉スイカと、家庭用にそのまま買えるコダマスイカとの住み分けになっている。大玉では、よりシャリ感があってカットしても崩れない果肉が求められ、そのための新品種も登場している。景気が回復しても、早出しの高いスイカが再度支持されることはない。一方、コンビニにおけるカットフルーツ用として、これからますます夏場のスイカが要望される。対応が遅れると輸入物が脅威になるだろう。

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