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新・農業経営者ルポ

有機農業の推進を目指す農業経営者と全国からそこに集う人々


ところで、マルタが誕生する前年、作家の有吉佐和子が朝日新聞で『複合汚染』の連載を始めた。マルタの活動は社会と無縁ではなかったようだ。100%神田市場出荷でスタートしたマルタにも3年目から生協産直や20年目ごろからは量販店との取り組みも始まった。今では学校給食や通信販売も手がけ、今年3月期の取扱高は70億円にまで広がっている。

有機農業の復興へ

有機農業に取り組んで40年。志郎もほとりも時代は変わったと感じている。有機農業を推進する法律ができたり、公的な農業試験場がその研究を始めたりしている。マルタができた当時には考えられなかったことだ。
来年、マルタは創業40周年を迎える。次代を担う人たちのため、まずは借金を完済しなければならない。もう一つの課題は有機農業の技術の確立である。
「有機農業でも収量や品質は慣行栽培と同等以上にならなければいけない。そういう意味では明かりが見えてきています。収量でいえば慣行の90%から95%は取れるようになりましたから。それから最近の研究で、有機栽培にすることで果物や野菜の機能性も高まるという結果が出ています。私は、これからの社会は健康や福祉がキーワードになると思っているんです。時代の要請に応えるためにも、40周年を機に有機農業をもっと推進していきたい。そして、5年ぐらいでマルタと鶴田有機農園を黒字にしたら、次の世代に受け渡したいと思っています」
息子2人は学校を卒業後、マルタの社員になっている。ほかにも有望な人材がいる。親から子に渡されたバトンは次の世代にも受け継がれていく。 (文中敬称略)

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