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特集

私家版・農業界だけで通用する用語辞典


01
「就農10年目のプロ農家、農業女子って呼ばれる担い手です」
いろいろありすぎる農家の分類用語編

【農家】のうか
農水省によれば農家とは「経営耕地面積が10a以上又は農産物販売金額が15万円以上の世帯」である。農林業センサスを見ると、この定義に当てはまる農家は約253万戸(2010年)だ。
まあ、わかりやすいか、と思いながらさらに調べていくと、一口に農家といってもさまざまに分類されていることがわかる。特に販売農家はさらに2つの分類法で計6種類に分類されている(表参照)。「農水省は分類マニアか?」と思わせる。
しかも、思い返せば農水省が指す農家は、政策が変わるたびにあれこれ変化してきた。今は253万戸であっても、ある時には163万戸であった。農家戸数は「猫の目農政」をそのまま表していたのだ。
そこへいくと、JAグループは毅然としている。彼らが指す農家とはJAの正組合員のことである。正組合員はすべて農家であるという信念、というよりは信仰を持っている。
現在、JAグループの正組合員数は483万人にのぼる。その資格を有するのは農家のはず。ちょっと待てよ。農水省が定義した農家はさまざまあっても、最も多いのは総農家戸数で253万戸。これと比べてJAの正組合員数が200万以上も開きがあるのはどうしてだろう。
この差についてJAグループは、農家一戸から複数名の正組合員を出す制度を導入するJAが増えているからだと説明する。ただ、農家側にとってそのメリットはほとんどないのに、あえて賦課金を余計に出してまで妻や子供たちに正組合員の資格を取らせる農家がどれだけいるのだろう? あいにくJAグループはその数を明らかにしていない。なぜだろう? 信仰に疑問を差し挟む余地はないのか。まさか、正組合員に農家でない世帯の人は混じっていないですよね、JAさん。

【就農】しゅうのう
職業に就くことを一般的には「就職」というが、職業が農業である場合に限って就農と呼ぶことになっている。つまり、農業は他の職業一般とは違うものであるという主張を込めた表現である。
なお、農水省が使う「就農」の語は、農業を職業に選ぶ人のすべてを指すわけではなく、若年層の人々が集落営農、認定農家、法人化を目指す「担い手」となることを特に「就農」と呼んでいる場合が多い。
なお、職を変える、勤務先を変えることを「転職」と呼ぶが、「転農」という語があまり使われないのはやんごとなき方と音が通じることから不敬となることを恐れるためである。それでも無理やり「転農」の語を使う場合は、他の職業をやめて就農する場合に限られるようである。要は、入りはあっても出は想定されていないのが農業界の人事意識である。

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