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昆 実際には、生産地での高齢化による農地流動、それとマーケット側の人口減、高齢化による消費の減退、商品の変化があって、コメだって高齢者ほど食べているんですよね。
インターネットから米を買い
コンビニのおにぎりを食べる
昆 今後、農村側の変化も含めて、どういうタイプの流通がでてくるのでしょうか?
市川 主食用米でいうと、玄米ベースで800万tを切るまでに下がってきました。最大1300t以上あったわけだから、凄い下がり方です。その800万tのうち農協・全農が預かる分は285万tしかない。つまり35%強くらいしかないわけです。米穀機構が毎月、「お米をどこから買っていますか」というアンケートをやっていて、その結果をみるとスーパーが価格ベースで45%(数量ベースで言えば35%)、2番目に米を買っていないっていう人が20~25%います。
昆 縁故米といわれるものですね。
市川 そうです。お米を買っていない人がいるということは、あげている人がいる。片方では商品として売っていて、片方ではタダであげている。これらが混在しているマーケットなんて他の商品では聞いたことないですよね。穀物などをつくって、それを販売して生計を立てるのが大変だから、そこに直接補償で出す。この理屈はよくわかります。
昆 わかりますよね。
市川 でも、昆さんの言葉を借りれば、趣味的につくっている人が無料で身内とかに送ったりしているわけです。そういう人たちにも販売農家として一律に補助を出しているというのは本当におかしな話でしょう。
昆 はい。さらに消費者に生産者から直接穀物が流通するなんて、世界中で日本のコメだけですよね。
市川 なるほど、そうですね。先のアンケートでもインターネットでお米を買うっていう人が10%を超えました。これは加速度的に伸びていて、パソコンからタブレットになり、スマホになり、手のひらにコンピューターを持ち歩いている時代ですよ。働いているお母さんが帰り際に電車の中でお米を注文するというのが当たり前になってきたんです。流通は劇的に変わっていますよ。
昆 それは良い変化ですよね。
市川 新しい食べ方、食べさせ方、食育の啓蒙とか日本型食生活のものとかいうのは、役所ではなくて、民間がやっていかなくちゃいけないでしょう。コメの消費は50年間で約半分になりましたけれど、今一番貢献しているのは、4万店もあるコンビニエンスストアの「おにぎり」だと思います。
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市川稔
いちかわライスビジネス(株)
代表
1952生まれ。神奈川県出身。日本大学芸術学部を中退後、いちかわアクト(株)社長を経て、94年いちかわライスビジネス(株)を設立。同社は、「米家きゅうさん」チェーン5店舗を展開し、コメ生産者との直接契約栽培米を中心に卸小売を行うほか、デパートや量販店にも高級米を販売。
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