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到着後、向かったのは寝泊まりする別棟で、そこには先客で東京農大3年生の飯田さんがいた。部屋に入るとやけに寒く、いくらサザン・カリフォルニアとはいえ、季節は真冬。翌日Chinoさんに話をすると「我慢してくれ」と言われた。電気に詳しい光さんは、壊れていたオイルヒーターを自分で分解・修理して何とか使えるようにしたそうで、さすがに電気料金は取られなかったらしい。
仕事は朝6時から夕方4時までで、食事はすべて自炊なので朝食は食べなかったそうだ。休みは日曜日の午後のみで買い出しにも行くが、限られた時間で1週間分を買うことになる。仕事中はトランシーバーを持たされ、「もっと早く仕事をしなさい」と日本語で指示されるため、まともにトイレに行けず、何度かチビりそうになり、仕事終わりには10秒ごとにお湯と水が交互に出るシャワーのハイテク装置付き親切設計?にビックリさせられた。畑ではアミーゴ達とトラバッハ(働け)とメキシカンを覚えながら働き、ハポネス カカ(日本人くそ野郎)と言われないだけマシだったようだ。
農場で収穫された野菜は道路沿いにある直営スタンドで販売する。スーパーの3倍の値段だが、客は早朝から高級車に乗って買いに来る。ちょっと気になることに、客の前ではオーガニックだと伝えていたが、光さんの仕事の一つに農薬散布があった。あの農薬はいったいなんだったのか今でも疑問だという。
12月14日から年末までで1224ドルの稼ぎだが、なぜか853ドルをIFAAにピンハネされた。そして1月分はまだの様子(3月22日現在)。研修最後の夜は高級な寿司屋に連れて行ってもらえたのだが、同室の飯田さんは遠慮して食べなかった。なんでも研修がまだ2カ月残っているので、後からピンハネされるのを心配していたからである。
こんな感じで1月末まで研修を済ませ、またIFAAがあるサンフランシスコに自腹で戻った。担当のノセタニ氏から「研修も終わったのだから、どこか行きたい所はあるか?」と聞かれ、光さんは「ヨセミテ公園に行ってみたい」と告げたのだが、自腹の1日バスツアーに追いやられた理由はなんだったのだろうか?
搾取を助長する無法地帯に
Chinoファームを調べると、先駆者的オーガニック、卸はしないで自前のスタンドで販売、ハリウッドのレストランで使われた、アカデミー賞の時に食されたなどと上あごと下あごが20くらい離れそうな美辞麗句を並べ立てているが、現実は守銭奴のごとくである。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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