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シリーズ水田農業イノベーション

水田農業イノベーション研究会2014 第1回:水田での子実トウモロコシ生産に関する検討会


二つ目は、雑草の防除に手間がかからない点である。大豆と比べ、トウモロコシは初期の生育が早いため。昨年は土壌処理と茎葉処理を行なったが、土壌処理だけでも可能だろう。茎葉処理まで施したのは、収穫後の次作の大豆、または小麦の作付け時の作業軽減を考えてのことだ。
三つ目は、複数の作物を生産することによる年間の労働時間の分散と、天候によるリスク分散である。通年でトラクターをつかう作物をつくることにより、雇用を含めた労働力の分散が可能である。
課題は収穫機である。盛川氏は、昨年購入した小麦用のコンバインでトウモロコシも収穫したが、現在、トウモロコシに対応する国産のコンバインはない。盛川氏は、国内の機械メーカーがそれに取り組めば、誰でもトウモロコシを始められるのではないかと期待感を示した。

フロント作業機の利用で
播種床造成までを一工程で
(スガノ農機(株) 齋藤保氏)

スガノ農機(株)が見学会で提案したのは、トラクターの前後に作業機を装着した機械体系である。その一例として、トラクターの前方にスプリングとスパイラルローラーを、後ろにサブソイラとバーチカルハローをそれぞれ装着した実機を紹介した。この機械体系ではトラクターの前方で整地、鎮圧を行ない、後方のサブソイラで心土破砕、縦軸で爪が回転するバーチカルハローで砕土・整地する。前後の複合作業により播種床造成までの一連の作業を一回の工程で行なう体系を推奨するのは、水田のような作土層が浅い圃場にトラクターの踏圧が与える影響を最小限に抑えることが狙いである。
近年、水田でもトラクターの大型化が進み、踏圧の軽減が不可欠になっている。水田で確保できる作土層は平均で畑地の半分~3分の2程度、20~25cmの作土層である。そこに大型トラクターが繰り返しに入れば、圃場にかかる負荷は大きい。特に、4輪駆動のトラクターの踏圧がかかるのは前輪で、フロントウエイトを装着していれば、さらに前輪の踏圧が大きくなってしまう。
そこで、フロントウエイトの代わりに作業機を装着すると、前後の作業機が稼働している間はトラクターの車体が持ち上がるため、トラクターの踏圧は軽減する。同時に、一回の工程で作業を済ませることにより、トラクターが圃場に入る回数が減り、作業時間も短縮される。
見学会では、もう一つの複合作業体系も紹介された。バーチカルハローの後ろにグレンドリル、または真空播種機を装着して、播種床の造成から播種までの一連の工程を一回の作業で行なう方法である。

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