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特集

耕種農家のための飼料穀物入門


塚原牧場では、現在、母豚約100頭と肥育豚1400~1500頭を飼育。独自のエサ工場を抱え、自家配合の餌を供給している。
飼料工場は週3日、稼動する。肥育用の飼料は約1100kg/日、つまり週にして7、8tほどの生産量だ。200坪の倉庫には、向こう2カ月分の原料と、製造した2週間分の飼料の在庫を抱え、タンクではなく袋で管理する。以前は、他の養豚会社にも飼料を供給していたが、梅山豚が売れ始め、飼料原料が逼迫した際に自社の豚と他社の豚のどちらを優先するのかという問題に悩み、自社向けに専念するようになった。
「飼料は基本、粉砕して混ぜられればいい。難しいのは中身の設計です。トウモロコシだけでは飼料にならないし、最低でも大豆カスは必要。それに加えて、でん粉、タンパク質などのバランスも考慮しないと」
養豚の場合、一般的な肥育用飼料の半分はトウモロコシ、もしくはトウモロコシの類似品だ。そして2割が大豆カス。この7割はどの飼料もほぼ共通しており、残りの3割で何を与えるかによって「いもぶた」「麦豚」などの差別化を図っている。
「トウモロコシは、安くて早く育つ、エネルギー効率の良い作物だから、コストを考えると飼料には欠かせない」とそのポテンシャルを認める塚原氏だが、梅山豚にはトウモロコシを与えていない。
というのも、梅山豚は「21世紀を救う豚」としてブランド化しているため、人間の主食になりうるものを食べていては、「21世紀を救う豚」の価値を下げてしまいかねない。またトウモロコシを与えると、肉の味わいがトウモロコシに寄ってしまう事情もある。そして梅山豚の肉は脂が多く、この脂自体を減らすことは難しい。商品化するためには、香りとキレが良くて軽い脂を追求する必要があった。
そこで塚原氏はそれまで使っていた配合飼料と決別。筑波大学大学院で飼料配合の研究に打ち込んだ。
「配合の比率は、脂の厚さ、柔らかさといった肉の質に影響を与えます。日本の市場だと硬い方が好まれる傾向がありますが、飼料米が全体の10%を超えると軟らかくなっていくんです」
研究により、梅山豚に与える飼料は、飼料米を5~10%、パン粉、パスタ、小麦粉、豆乳粕、麦茶粕、無洗米肌ヌカなど、15種類以上の食品残渣を配合するようになった。飼料米は今年5年目で、年間30tを使用する。パンや麦茶はメーカーから引き取ったものを、乾燥後に粉砕して配合する。
「通常の飼料には葉酸、硫酸鉄、炭酸亜鉛などの微量要素が多数利用されています。その点、我が工場でつくるものは非常にシンプル。それでも豚は遜色なく育ちますね」

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