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特集

耕種農家のための飼料穀物入門


【国産飼料生産への期待と懸念】

塚原氏によれば、多くの種豚、さらに餌であるトウモロコシの種も米国から輸入に頼っている状況で、どちらも海外から持ってきて、それを育てているだけという印象を持っているという。
「そこには日本らしさがないし、独自のやり方を見つけない限り、TPPの時代を生き残るのは難しいでしょう。その意味においても、国産飼料生産への興味は大いにあるし、期待しています」
いずれは梅山豚以外の地域に根ざした豚種を扱う可能性も示唆しており、その時は国産飼料を使わない手はないと考えている。
「もし、国産トウモロコシをキロ30円、40円で供給できるのであれば、大変面白いと思います」
期待を寄せる反面、「はたしてそれを吸い上げるような飼料会社はあるのか」という点を懸念している。
飼料の製造には乾燥、粉砕、混合、ストック、横もちなどの工程がある。例えば、乾燥はコメの場合、食味を考えると水分15%がベストだが、多湿な日本では10%ぐらいまで乾かさないと、カビが生えて飼料として流通させるのが難しくなる。粉砕は豚の成長段階によって、ちょうどいい粒度があり、ひたすら細かく砕けばいいわけではない。また粉砕するとカビが生えやすくなるため、飼料工場で混ぜる直前に粉砕するのが、一番いいとされている。
このように一つ一つのノウハウが要求されるなか、一連の工程をつなげることができる飼料会社は数少なく、製造のインフラを自前で整えている大手メーカーの独壇場というのが現状である。原料は輸入品への依存が強まり、大手の飼料会社が港に集約。かつて内陸部にポツポツと存在していた地場の飼料会社は弱体化して、廃業か、取次店になった。そして今や養豚会社が大手メーカーにオーダーして、飼料工場を利用する形が主流になっている。
「大手飼料メーカーが、国産トウモロコシに目を向けるかは疑問です。その点、我が社のような小規模の飼料工場なら対応できると思います。例えば国産トウモロコシの場合、牛に丸粒じゃなくて、茎ごと与えてもいいかもしれない。そうやって生産量が少ない原料を受け入れながら、飼料の需要者と相談して、使い切っていく。小さいからこそできることもあるし、そういう会社が増えていくことが重要だと思います」
【補助金がなくなっても継続を!】
こうした柔軟性は、原料供給側にも求められる姿勢だ。飼料がキロ60円ほどで販売されるなら、原料はキロ30円程度で仕入れなければならない。運賃コストによって5、6円はすぐ上がるから、運搬しやすいかどうかは重要な問題になる。

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