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特集

耕種農家のための飼料穀物入門



ヒエ(Japanese millet)

東アジア原産の一年生のC4植物。茎葉の生産性に優れることから、近代畜産の進展とともに粗飼料として利用されるようになった。初期生育が早く低温伸長性に優れる。耐湿性が強く、発芽後は湛水栽培も可能。発芽率が高く初期生育も早く、病気も発生しにくいが、野生ヒエが混入しても判別できないうえ、防除も不可能であるため、野生ヒエの蔓延には注意が必要。
【利用形態】青刈り、乾草、ロールベールサイレージなど
※世界では、アワとともに「ミレット(millet)」として扱われている。

エンバク(Oat)

ヨーロッパ原産。世界的に穀実は飼料用にも利用されている。茎葉の栄養価が高く、イタリアンライグラスに次ぐ重要な冬作用飼料作物として、我が国では西日本を中心に広く栽培されている。
【世界の生産量】
約2,100万t
(2012年FAO統計)
【日本の生産量】
作付面積は7,620ha
(2013年作物統計)
【利用形態】
穀実、ロールベールサイレージ(乳熟期頃に刈り払い、予乾)など

ライムギ(Rye)

南西アジア原産。他のムギ類よりも耐寒性が強く、土壌への適応性が広く、イタリアンライグラスやエンバクの作付けに適さない東北~北関東地域の冬作用に用いる。嗜好性ともにエンバクよりも劣る。
【世界の生産量】
約1,460万t(2012年FAO統計)
【日本の生産量】
作付面積は877ha(2013年作物統計)
【利用形態】
ロールベールサイレージなど

オオムギ(Barley)

最も古い穀実作物のひとつで、日本でも紀元前から栽培されている。世界的には穀実として生産され、日本の輸入量は昨年で約108万t。茎葉の生産性は劣るが、子実割合が高い。東北南部~九州での秋作栽培が一般的。耐湿性が弱いので排水良好な圃場でないと、多収は期待できない。
【世界の生産量】
約1億3,300万t(2012年FAO統計)
【利用形態】
ホールクロップサイレージなど

イネ(Rice)

インド付近が原産とされる。コムギと並ぶ世界二大穀実作物だが、余剰水田に悩む日本と韓国では飼料としても利用されるようになってきた。飼料利用を目的とした多収品種が地域毎に開発され、稲WCS用にはワラを多くとれる品種など、主食用米とは異なる品種が作付けされることが多い。穀実が実る前に茎葉とともに刈取りサイレージ化するホールクロップサイレージ化する稲発酵粗飼料(稲WCS)と、穀実として収穫する飼料用米の2種類の利用方法が提案されている。稲WCSは2011年度より戸別所得補償制度により交付金の対象となり、作付面積が拡大した。稲WCSの場合、九州では年間2回の栽培・収穫が可能。飼料用米は同じく交付金の対象となったことで、輸入トウモロコシと同程度の価格帯で供給できるようになり、生産が増加した。政策のもと、我が国の濃厚飼料原料の国産化の火付け役を担った。稲作農家が既存に保有する生産技術と機械で栽培・収穫できることが最大の利点ではあるが、所得の確保には直播栽培技術をはじめとする省力・低コスト化技術の導入が不可欠である。平成25年度からは地域の平均収量に対する収量の評価で交付金の支給額が変動することになり、捨てづくりの低減が見込まれる。

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