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弁護士・戸出健次郎の困ったときの相談と転ばぬ先の杖

風評被害による損害賠償は認められるか

【質問】
弊社は、関東地方で食品の製造・加工をしている会社です。東日本大震災から3年以上経過しましたが、被災地の同業者は、未だに風評被害に苦しんでいます。地震や事故はいつどこで起こるかわからず、弊社も他人事ではないと思っています。今回のような風評被害を受けた場合、損害賠償の請求をすることはできるのでしょうか。
【回答】

「事故」あるいは「報道」と、売上減少との間に因果関係があれば、損害賠償請求が認められます。「事故」との因果関係がある場合は、当該事故を起こした者(東日本大震災においては東京電力。)、「報道」との因果関係がある場合は、当該報道をした報道機関を訴えることになります。

【解説】

今回の「風評被害」とは、農産物等が、放射能汚染されているのではないかという消費者の不安心理に基づく買い控えによる損害です。ただ、一口に「風評被害」と言っても、「事故」そのものが原因の被害と、「報道」が原因の被害があります。両者とも、この2つは区別する必要があります。

1 事故を起こした者に対する請求

「事故」そのものと損害との間に因果関係が必要です。
例えば、「Aという区域内のXという農作物が、食品衛生法の上限値を超える放射能に汚染されているので、出荷制限されている」と報道(この報道自体は真実であるという前提)されたところ、同一区域内のYという農作物も放射能汚染されているのではないかと考えて、消費者が買い控えをした結果、売上げが減少したというケース。このケースであれば、内容が真実である報道と消費者の行動の間に一定の因果関係が認められ、売上げの減少分が風評被害による損害として賠償請求の対象になる可能性があります。これに対し、放射能汚染の根拠、放射能汚染の対象、具体的数値、調査方法、人体への影響等につき詳細な情報が報道された上で、放射能汚染が確認されたのがXのみであるという報道であった場合、消費者がYという農産物を買い控える行動は必ずしも合理的行動とは認定されず、因果関係が否定される結果、賠償請求の対象にならない可能性もあります。

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