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特集

生かすも殺すも経営者次第の外国人実習生

昨今、農業界に限らず、建築業界や飲食業界など、多くの業界で特に若い世代の労働力不足が深刻化している。アルバイトやパートの賃金相場は上昇し、業界間や業界内で日本人労働力の取り合いになっている状況だ。 そんななか、外国人技能実習制度の下、3年間の予定で来日する外国人実習生(以下、実習生)に、技術指導を与えつつ、企業(農場)の戦力としても活躍してもらいたいと考える経営者は多いだろう。受け入れ先によって、上手にやる気を引き出して戦力になっているところがあれば、当事者間のさまざまな認識のズレからうまくいっていないケースもある。結果として最悪の場合は失踪などのトラブルに発展する。そのあたりの実情を受け入れ組合の代表理事と受け入れを行なっている農場に聞いた。 (文・まとめ/平井ゆか、永井佳史)

外国人実習生事業で
トラブルを起こさない
10の秘訣

実習生の受け入れに際して、どんな準備をし、どう接していくのか。実習生受け入れ組合の代表理事として、農業界への実習生の受け入れにも詳しい(株)Life Lab(以下、ライフラボ)代表取締役社長の西田裕紀氏に話を聞いた。


公益財団法人国際研修協力機構
JITCOの報告によると、2012年に日本へ実習生を送り出した国は中国をはじめ、ベトナムやインドネシア、フィリピン、タイなど15カ国に上る(P17及び図1)。全体で68職種あり、受け入れ人数の多い職種は機械・金属関係、繊維・衣服関係、食品製造関係がトップ3で、農業関係はそれに次ぐ4番手で、6888人(全体の約13%)が制度を利用して日本で実習を受けた。西田氏は、農業分野の実習生は今後ますます増えていくと見ている。
農業者が実習生の受け入れを行なう場合、農業者と実習生との間に入るのが日本の受け入れ組合になる(図2)。一般的には事業協同組合と呼ばれる団体で、各都道府県に数多く存在する。また、農協や、農業者たちが自ら立ち上げた協同組合などもある。
実習生の受け入れの仕組みはこうだ。日本の受け入れ組合は、農業者から申し出があると、各国の送り出し機関と連携し、実習生を募集、選考する。併せて、受け入れのための書類作成の支援などを行なう。実習生は、各国にある送り出し機関に登録し、募集に対して応募する。各国の送り出し機関の多くは日本語学校を運営しており、このケースでいうとその生徒が実習生ということになる。
費用のうち、農業者が負担するのは、実習生の毎月の給料、渡航費、実習生保険料、健康診断料、試験費用、実習生の義務になっている1カ月間の日本語学校の費用、受け入れ組合が実習生のフォローアップを行なうための監理費などになる。そのうち、毎月の給料は農業者が実習生に直接支払うが、その他の費用は受け入れ組合にまとめて収める。
この仕組みのなかで受け入れ組合が果たす役割は大きい。実習生の人選から3年間の実習満了までのフォローアップの役割をすべて担うためだ。実習生を受け入れるとき、数ある受け入れ組合からどの組合に依頼するかが第一歩になる。

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