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昆 それらも全部スペインの資材なんですね。1棟当たりの面積は?
中村 5haくらいあったのかな、20haが4つに分かれていたので。案内されたトマトを作っている農場ではハウスの面積が既に300haあって、今回新たに70haを20ha、20ha、30haと造成したそうです。企業ではなくてスペイン人の農家経営です。昔は小さかったのよって話していましたから。たまたま経営が良かったのか、広大な土地を持っていたのか、背景はわかりませんけど。
昆 そういう人がすでに300haでやっていて、さらに70haを一気につくる勢いであると。
中村 スーパーマーケットに直接卸していて、大玉トマトよりミニトマトのほうが単価が良いのでそちらを作っているとのこと。作業している人の賃金は9000円/日。高い人件費ですが、作業効率を良くしているんだろうと思いました。
昆 その増設したハウスの施工費用が驚きの価格だったとか?
中村 20haでおよそ4億数千万円。潅水も温室、潅水施設、コントロールユニット、雨水貯め、水の調達も全部ひっくるめて。1haに換算すると約2000万円になりますね。
昆 日本では1haのハウスってなかなかないけれども、比較するのに、どのくらいみたらいいんですか?
中村 坪3万円、1haは3000坪ですから、1億円。安くてね。
昆 ほぼ1/5ですね! 機能性が云々とかいうのは?
中村 あまり、日本と変わらないと思います。ただ、スペインではフィルムに強度を持たせて、温室のアーチとアーチの間隔を飛ばしてあります。イスラエルも海外はみんなそうなんです。日本はフィルムに強度をもたせていないので、風でパンパンパンとなると破れてしまうからといって50cm間隔に細いパイプを入れて、それをまたバンドで引っ張ってという考え方なんです。2500万あれば持って来られると思います。
国内にマーケットがあれば
その産業は発達する
昆 種はオランダやイスラエルから買っているケースが多くて、労働力は北アフリカから集めて、日当が1日9000円くらいで全然安くないと。だけど、設備費、その他は圧倒的に安い。スペインの施設園芸の全体像をご覧になって、中村さんは何を考えたんですか?
中村 圧倒的に安いから成り立つんでしょうね。それと手間暇かけないで、施工もそうだし、農場の中の収穫も一気にやっているなと。日本の農家の人は先進国にいると思っているけれど、私はいつも世界で最も後進国にいるなぁと思っていますよ。
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中村泰明 ナカムラヤスアキ
農事組合法人興里農場
代表
1948年生まれ。近畿大学農学部を卒業後、父のミカン栽培を手伝う。その後、外車の平行輸入ビジネスを手がけたが、32歳で農業の世界に戻り、ミカン栽培をやめて、トマトと花のを栽培を始める。和歌山県でバラの栽培を中心に苗生産、資材販売を行なう一方、2001年よりインドネシアに農地を取得し、赤道直下の標高1000mの高地で大規模な温室栽培を始め、季節に関係なく良品質のバラを日本市場に供給してきた。海外に積極的に視察に出かけ、世界的な人的ネットワークを育んでいる。農事組合法人興里農場・代表。
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