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座談会

農業経営者が覚悟すべき交付金制度の今後


本間 現在、WTOでの保護削減はストップしていますが、一定程度は認めて、いずれ減らしていくという方向づけですよね。これは政府が政策決定する際、判断基準になりません。政権がいつまで続くかわからないせいか、「どんなことをやっていたって当面はOK」という考えがあるんじゃないですか。特に民主党政権の時には、赤信号の政策はさすがにまずいとしても、黄信号の政策はバンバン通して、将来のことは知っちゃいないという姿勢が見え見えでしたし。戸別所得補償なんて基本的に不足払いで、いずれは持たない政策だから、完全に黄信号ですよ。

飼料用米

昆 大分県で餌米をコントラクターも含め70haほど手がけて、安定的に儲けている読者がいるんです。焼酎かすを混ぜたサイレージにして、鹿児島県の養豚業者に売っている。彼が言うには、「今のように高い交付金をつけると、本来やめてしかるべき人がやめなくなる。自分の経営体質もおかしくなるし、早くやめるべきなんだ」と。減反廃止とは言っているけれども、あの餌米はムチではなく、極端なアメをばら撒いて米を減らせようという政策ですし、第一、米を餌にするのはエネルギー効率からみても経済効率からみても非常にばかばかしいことで、米を餌にしている国は世界を見回しても日本しかありません。経営をわかっている農家たちは、10万5千円の交付金を付けるのは「おかしい」「こんなのありえないよ」と言っているし、その数は結構いるんですよ。餌米についてはどうお考えですか。
高木 米自体を保護するよりもはるかに悪い政策だと思います。主食米ですら需給均衡よりもはるかに高い額を維持して消費者負担になっていますが、餌米でいえば海外の5倍の価格を維持して、8割が納税者負担になっている。なおかつ流通で言えば、沿岸にしかない飼料工場を今度は内陸に作って、さらに流通経費を増やす。それをまた補助金で賄っていくムダもあります。
つまり餌米の価格は、収量が倍になったところでまだ成立しなくて、将来的に補助金なしでやる展望が全くないまま、垂れ流ししているわけです。450万tの潜在需要があるといって、この政策を続ければ交付金だけで7000億円が吹っ飛んでしまう。この構造改革が必要な時に、そんなムダ金使いの政策をはっきり打ち出している気がしれませんよね。(笑)

昆 これまでもコメ依存が高く政治的な対応に依存してきた県ほど、要は日本海側の県が米に騒ぐ印象があります。10アール当たりの交付金額ばかりを考えるし、コメなら誰にでもできるから餌米がよいと考えてしまう。

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