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本間 WTOで続かないというよりも、これを拡大していった時、財務省がどういう風に扱うか、という問題が大きい気がします。こんな高いものを扱っているから日本農業全体のコストがあがるし、国民負担も大きいわけで。
昆 北海道の畑作物で直接支払が行われていて、その中でもデンプンジャガイモやビートが対象になっている。これらはマーケットが求めていない作物で、需要者側は非常に迷惑しているわけですよ。一方、農家たちにしても、もっとも飼料も肥料代もかかるビートなんて補助金がなければ、みんなすぐにやめますよね。ところがデンプン工場を減らす政策を取りながらも、応援するような補助金も出ている。それゆえ、関係者は意欲や新しい商品開発をするための努力が減退して、経営改革にとって邪魔になる側面も強いのではないか。餌米の10万5千円も似たような効果を生むように思います。
高木 発想が全部品目別ということが、問題の根本にあるんじゃないでしょうかね。ジャガイモを作っている人が、ジャガイモだけ作っているわけじゃなくて、当然のことながらいろいろな農産物を作っている。品目別で需給均衡になったり、余ったり、足りなくなったりした時、その作物に対して政策を打つ。いい政策の様に見えるかもしれないけれど、長い目で見たら決していい政策ではありません。代表的なのが、今の米です。交付金を15000円から7500円にして、その所得減を何度も補い、今度は餌米に10万5千円という数字が出てくるのは、品目だけしか見てない証拠。経営を単位にする方向に変えなきゃいけない、と言われてから十何年も経っているのに、何も改善されていません。それはおそらく農水省が経営を単位とする分析を怠っているからであって、経営を単位とする原点に戻ってやらないかぎり、いつまでたっても品目別の矛盾は生じるはずです。
子実トウモロコシ
昆 最近、トウモロコシに注目しているんですよ。日本は「水田だからトウモロコシが合わない」「外国とこなせる面積が違うからコストも違う」という先入観にとらわれすぎている。しかしフランスでもアメリカでもオーストラリアでもロータリーなんかないのに、畑用の機械で稲を作っています。イノベーションを含めてやっていけば、日本はもっともっと先に行けることがあるんじゃないかと私は思っています。
具体的な話としては、トウモロコシの値段が下がった今年3月の段階で、輸入価格が港段階で3万円を超えていました。そして今、日本で今作れば自然とnonGMOになるから、まさにマーケットニーズに合わせて作れてしまう。しかも水田転作の交付金として、いちばん低いレベルの交付金3万5千円がつけられる。黄信号の部分はあるだろうけれども、マーケットの支持はあるし、餌米の交付金よりもずっと安いし、今までやっているようなことよりも全然イノベーションがあって、構造変化していく予感がするんですが。
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