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座談会

農業経営者が覚悟すべき交付金制度の今後


本間 それは農業者がマーケットで勝負するよりも、政商になった方が儲かるという合理的な判断を持っているからですね。逆に言えば、市場を指標にしてこなかったわけで、ゆえに先物が育たなかった。先物を通して経済情報を集めていくはずだったのが、急に政策が変わったりして、米価が一気に上がってしまい、全く予定と違う展開になった。そのことで、「これでは先物は使えない」という話になったんですよね。
昆 しかし先物もそうですが、秋田県の知事が減反廃止を指示したり、米を取り巻く状況は変わりつつあります。今年は米が相当量余るという話で、米、餌米、加工米であろうが、水田というベースから自由にならないと、水田系の経営者は厳しくなるんじゃないでしょうか。私が以前から唱えていた、「米を政治的な神棚から下ろそう」という主張が、いよいよ現実化しようとしているのかもしれません。
本間 米について言えば、今後は世界を見ていかなければいけないでしょうね。米を食うとか牛肉を食うのかといっても、国内の消費には限界があって、国際的なマーケットを見て将来を考えない限りは未来がない。国外の需要を念頭に置いた経営が、持続していくための条件になると思います。
高木 その通りですね。ただし国内の需要は減っていても、減っていかない部分もあるかもしれないし、介護食のような新しい需要もあるかもしれない。結局、需要あっての生産ということだけは忘れないでほしいところです。

まとめ

昆 元農水省の事務次官であった高木先生からすると、これから先の役所はどういう役割を担うべきだと思いますか。
高木 できるだけ何もしないのがいいんじゃないですか(笑)。農業は自然の影響を受けやすく、農地にも縛られるなど、一般の製造業とは違う面がありますよね。でも産業である以上、経営を持続していかなければいけないし、それは自分の努力や工夫によって獲得するものであって、国はできるだけ関与するべきではないと私は思うんです。つまり国の役割は、産業としての農業が伸びるように、農業経営者をもっと信用して、創意工夫を発揮しやすい環境や、経営しやすい仕組みを作ること。つまり、産業化の手助けですね。その結果、農村が豊かになったら、農水省はやはり必要な官庁だったなと評価されるわけですから、そういう意識転換をする必要があると思います。そのためには、日本農業の強みと弱みをもっと分析すべきですよ。「みんな弱いから、みんな守る」「守る手段は関税」という考えから早く脱却しないといけない。

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