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紀平真理子のオランダ通信

オランダの農業政策(前編)

オランダの農業政策を知るためには、まず欧州連合(EU)の共通農業政策――Common Agricultural Policy、頭文字からCAP――について理解する必要がある。
CAPは、1960年に始まったEU域内での農業補助に関する政策である。もともとこの政策は、生産高や耕地面積に対して行なう補助金の直接支払いと、価格維持を目的として施行された。また、農産物の最低価格の保証やEU域外からの農産物に対する関税賦課や輸入量の制限も実施している。しかし、2005年から12年にかけて、制限輸入量の緩和を進め、補助金に関しても生産高を基準とした支給方式から農地管理に基準を置く方式へ移行した。CAPで合意した制度実施内容はCAP加盟国ごとに異なっている。これまでも制度改善を試みてきたCAPだったが、とりわけ14年から20年におけるCAPは大きく前進した。

CAPの2013年主要政策

13年の主要政策は、(1)価格・所得政策、(2)農村開発政策、の2本柱から成り立っていた。
まず、価格・所得政策は、作物別に支持価格を設定し、市場価格が下がった場合はEU加盟国が買い支えを実施する最低価格の保証が基本となる。対象作物は、小麦、大麦、トウモロコシ、大豆、牛肉、乳製品などだった。また、92年に開始された生産者の収入を保証するための直接支払いも行なった。制度導入当初は、品目ごとに制定された支払い単価をもとに、面積等に応じて直接支払いがなされていたが、03年以降は直接支払いを生産品目ベースではなく、過去の支払い実績に基づいて額を決めるという方法に移行した。なお、直接支払いを受給するためには、減反や環境・土壌保全等に関する遵守事項などの条件を満たさなければならない。

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