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イベントレポート

農村経営研究会 農村経営視察会 第2回 福島県郡山市 川曲集落 限界集落のビジョンを語り合う


集落の端に位置する放牧養豚場は、降矢氏の営む農園のハウスを見下ろす山際にあった。数頭の豚が、敷地内を気ままに歩き回ったり、泥水を浴びたりしている。泥水を浴びるのは、暑い日差しで上昇してしまう体温を調整するためである。視察会メンバーが近づくと、ゆったりとした動きで興味深げに寄ってきた。子豚数頭は放牧場内の柵の中で飼われているが、それでも柵の端まで寄ってくる。セツ子氏が「おいでー。おいでー」という声をかけると、豚は、一斉にその声のほうに歩いていく。豚の人懐っこさに、視察会メンバーもしばし童心に返って楽しんだ。
放牧された豚は、草木の根まで掘り起こして食べ尽くしてくれる。放牧による耕作放棄地の開墾ができるのはそのためである。放牧の他に、餌は、農園のハウスで作っている野菜の残渣、餌米、トウモロコシなども与えているという。
放牧養豚場を発ち、続けて集落内を巡った。集落の道は、登っては降り、登っては降り、と、狭い道幅の急勾配の坂道が続く。その勾配に沿って、昔ながらのふぞろいの形をした棚田が並ぶ。道端には手入れが行き届いた花が色とりどりに咲き、アクセントを加える。
降矢氏は、集落の見所を案内してくれた。集落で最も古くからある桜の大木、木々に囲まれひっそりと佇む熊野神社、集落の多くが檀家であるという寺、2千頭の肉牛を飼育している大規模な牛舎、家々に隣接された養蚕のための蚕室。山側の集落を抜けて道を下ると開けた場所に出る。山側の集落を背に道路を挟んだ反対側には、集落唯一の平場の水田が広がっている。山側の棚田と平場の水田との間にあるこの場所が、川曲集落の中心部である。
この中心部にある集会所で、視察会メンバーと川曲集落の再建活動メンバーとの座談会を行なった。

30年後のビジョンを描き、そこに向かって活動する

集会所で行われた座談会には、降矢氏を含む川曲集落の再建活動メンバー、郡山市役所職員、農村経営研究会の視察会メンバーを含め、計23名が参加した。
はじめに、本誌編集長の昆吉則が、農村経営研究会の趣旨と、今回のテーマとして「福島のこの地に共感をもってくれる顧客を呼び込む」「地元や県内の異業種が協働することにより地元や県内の顧客とする」の2点を示した。また、行政の合理化により市町村が合併され、地域の意志が失われていく時代にあっても、川曲集落はこうありたいという明確な展望があれば人や企業が集まるだろうと語った。

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