ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特別インタビュー企画

真っ当な経営が“駄農”を退場させる!勝部農場のゆめちから戦略に込めた狙い


昆 以前、転作で大豆は播くだけで儲かるという時代がありました。あの頃は、コンバインの後ろを開けて収穫作業をする人がいると、各地の農家から聞きました。
宮井 そうそう。そこで下手に穫れちゃうとね、収穫だ、乾燥だと大変なわけですよ。だったら穫れないほうがいいやと考える人、それが駄農というものでしょう。まあ、そこは各自の経営判断だということでいいですよ。でもね、やっぱり子供は見てますよ。
昆 これは菅野祥孝さんから聞いた話ですが、出荷する際の大八車に石を乗せて重量を水増しする人がいた。その人の子も、大人になったらトラックに石を積んでいたそうです。
勝部 いずれにせよ、これは一般論だけれども、本業を疎かにする人はいるわけです。本業以外でいかにお金を得るか、そちらに頭を使う。それは、私から見ればありがたい話ですよ。なぜなら、そちらに頭を使うほど、本業を忘れて、真面目に働く側には有利になるからね。ただし、農家全体が悪口を言われて風評が立つことは困る。
宮井 そうそう。そっちへね、頭を使えば使うほどドツボにはまるんだから。あ、こんなこと書いちゃダメですよ! 
ただ、そういう人たちがいることは大事なんだって、私は親から言われましたよ。1970年から本格的にコメの生産調整が始まって、転作奨励金というのが出るようになった。それから数年経って父親が言ったんです。「お前ね、コメを作っている農家の人をありがたいと思え」と。理由を聞いたら「だって、みんながコメを作っているから転作奨励金というものがあるんだ。みんながコメを作るのを止めちゃったら、転作奨励金なんかなくなるよ」と。今は制度が変わりましたが、コメは余るほどどんどん穫れたほうが、転作田で麦・大豆をやっているウチも幸せになれるんだということです。残念な話ですが。

勝部 今の農政は、減反というブレーキと、増産というアクセルと、両方踏んでいるわけだ。これね、後でやってみたらわかるんだけど、車に乗ってアクセルとブレーキ一緒に踏んだらね、いつまで経っても家に帰れないよ。

行政も善意だけで
動いているわけではない

宮井 目先の金を見るということにかけては、行政の人も甘く見ちゃいけないですね。日本の役所というのは、それぞれの人がどういう経営をしていて、どういう風に市町村に貢献しているかなんて興味ないんですよ。今、いくら金を出させられるか、払わなければならないか、そこしか見ていない。

関連記事

powered by weblio