ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特別インタビュー企画

真っ当な経営が“駄農”を退場させる!勝部農場のゆめちから戦略に込めた狙い


宮井 遺伝子組み換え作物のことを生産者も消費者も、みんなわかってきたけれども、誰も賛成って言えないですよね、今は。

ユーザーの反応から
将来性を読み取る

昆 それで小麦の話ですが、勝部さんは、超強力品種のゆめちからが奨励品種でないのに、つまり奨励金が出るわけでもないのに、一気に35ha作りましたよね。
勝部 奨励金をもらわないでやったのは、4年間で延べ70haぐらい。これをもし奨励品種でやっていたら、10a当たり6000円の交付金とすれば、4200万円入っていたはずという計算ですよ。でもね、そんなものをもらわなくても、実際にはそれを上回る売上を上げたわけだ。
昆 なぜ、ゆめちからに可能性を感じたのですか。
勝部 最初、北海道農業研究センター主任研究員でミスター・ゆめちからと言われている西尾善太さんが訪ねて来て、「試験栽培で5aでもいいから作ってくれ」と言う。それで私が叱ったんです。そんな小面積で、どうやって播いてどうやって収穫するんだ、生産性も収益性も計算できないでどうなっているんだと。それが07年の11月です。西尾さんはウチで断られたら、もう普及を諦めようと思っていたそうです。後で、「清水の舞台から飛び降りる思いで来た」と言っていましたから。
結局、その後サンプルを送ってもらったんですが、私はその段階では種苗としてではなく、製品のサンプルとして見ていた。そこで、留寿都村の玉手博章さんに頼んで、あの人はルスツリゾートと付き合いがあるから、玉手さんに粉に挽いて持って行ってもらったんです。

昆 パンを作ってもらったんですね。ところで、なぜルスツなんですか。
勝部 やはりね、開発者自身の言葉をそのまま信じるわけにはいかない。人間、出来の悪い子ほどかわいいものですから、西尾さんの立場であれば、ちょっとよく言うことだって考えられるでしょう。それでまず品物としてどれだけ実力があるものか、調べたかったんだ。
ルスツには、オーストラリア人がスキーのために長期滞在している。彼らは日本人よりもパンを食べて育っているから、その人たちの評価を知りたかった。

蓋を開けてみると、オーストラリア人があまりにもおいしいと言って大人気だった。オーストラリア人とルスツのパンの職人とで、こんなうまい小麦が日本にあるものかと大騒ぎだったそうです。それを聞いて、1年目の08年に8ha作付けることにした。

昆 まずユーザーの評価を得ていたわけですね。

関連記事

powered by weblio