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実践講座:したたかな農業を目指す経営管理 入るを計り出を制す!

第十一章  経営収支のなかで頂いた補助金をどう捉えるか?

農業界VS産業界。戦後の経済復興と食糧増産を急速に整え、経済大国になった日本。貿易摩擦が解消されず、農業保護のあり方が問題視され、20年が過ぎようとしている。注目されるTPP、FTA交渉では、日本農業における補助金のあり方は、国内外からの指摘の的となり、産業界のみならず消費者にまで批判を浴びる結果を招いた。誰に原因があるのか。これはそれぞれで考えることにしよう。
今回は助成金を含む補助金がテーマである。捉え方の解説の前に、今の持論を述べてみたい。

お手本はEU諸国

国民全員で覚悟を決めて江戸時代のような資源循環の上手な生活に転換できるなら、控えめで慎ましい日本も悪くはない。実現しようすると、農業は海外の資源に依存した経営から、脱却しなければならない。
だが現実は、トラクター作業、精密機械による選果、豊富な資材と農具などにドップリ浸かっている。こういった農業から、私も抜け出す自信がまったくない。なぜなら、先人達が持ち得た逞しい人力と辛抱の心、畜力を巧みに操る技法、過酷な自然環境に負けない性根、どれも備わっていないからである。
そんな私がお手本にしたいのは、EU諸国の農業である。普及指導員時代の乾田直播、輪作体系の普及の時も、たくさん参考にしてきた。適地適作、輪作、有畜、環境保護、生産力、商品力……。農法や食文化に至るまで、日本オリジナルを大切にする一方で、EU農業はお手本にできることばかりである。EU諸国の農業機械が、日本のどこかしこの圃場で快走する光景は、何よりもその良さを物語っているのではないか。
次に、補助金政策を見てみよう。WTO交渉が始まった当初は日本と同じく、歴史・食文化に自信ありのEUも、農業保護を強く主張していたため、日本が米国と対峙するときの強い味方だった。しかし、この20年間でEUは、農政改革を断行した。20年前の盟友は今や高い食糧自給率を維持しつつ、世界市場をシェアする農業強国となった。EUの農産物価格は国際価格と拮抗し、付加価値の高いものは、より高値で輸出されている。皆さんもEU諸国の農産品をスーパーで見かけることで、おわかりいただけるであろう。

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