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また、終齢幼虫の駆除の場合は、作物の大きな食害痕とホカホカのふんを見逃さないことだ。そこにヨトウムシが見えなくても、その証拠があれば終齢幼虫が夜間に食害していることになる。このケースでは作物の根元の周りを軽く掘ってみる。すると、ヨトウムシがゴロゴロと出てくる。
ちなみに、土に潜っている場所は土が持ち上げられてわずかに乾燥しているところが多い。また、幼虫たちは集団で集まる習性があるため、1匹見つけるとその近くに複数いる。さらに、古い葉が地表に落ちている場合はその下にもよく隠れているので注意が必要だろう。
ヨトウムシにも天敵はいる
一見手強そうなヨトウムシにも天敵は多数いる。ヒヨドリやカエル、歩行性のクモやゴミムシの仲間、寄生蜂や寄生菌などだ。筆者の畑では昨年、防虫ネット内でブロッコリーに卵を産み付けられてしまい、大量発生させてしまった。しかし、幸いなことにブロッコリーの花蕾ができる前に終齢幼虫のヨトウムシが自然と全滅した。確認できなかったが、土の中にゴロゴロといた終齢幼虫が1匹もいなくなったことを考えると、寄生菌に侵されてほぼ同時期に一斉消滅したのではないかと推測される。このように天敵も多くいるほか、もし薬剤散布をするならBT剤やIGRなど天敵に影響の少ない薬剤を勧める。
ヨトウムシの
発生要因は人間!?
通常、ヨトウムシのように好き嫌いなく何でも食べてしまう生物は存在しにくいはずである。では、なぜたくさんいるのか?
そもそも野菜のほとんどは外来のものが多い。そして、日本人はその外来の野菜を日本人向きの柔らかくてアクが少ないよう品種改良している。日本人がそれを栽培する結果、ヨトウムシがそれを食べて繁殖している……。そう考えるとヨトウムシは人間のおかげで繁殖しており、ある意味、人間とうまく共存しているといえる。実際、筆者は野生の植物を食べて繁殖しているヨトウムシを見たことがない。ヨトウムシは目立つ害虫だが、実は畑で増えているだけの特別なガなのかもしれない。野菜の栽培とは切っても切れない関係なのだろう。
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小川幸夫 オガワユキオ
大学卒業後に農業機械メーカーへ入るも、自身が思う理想の農業を目指すため、2001年に千葉県柏市の実家の農業を継ぐ。畑は1町5反、うち4反がビニールハウスで年間100品目の野菜を生産している。 20年前まで地元の市場に個選でネギを出荷していたが、ネギの価格が低迷したことを受けて自宅裏に直売所を設け、色々な野菜を作って地元の消費者に販売するようになる。現在は地元の百貨店や高級スーパーにコーナーを構えてもらっての販売のほか、大型直売所や年間200回以上の朝市での販売、また地元レストランをはじめとしたくさんの飲食店に野菜を供給している。
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