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海外レポート

稲作の技術革新とその普及~FTA導入下の南米コロンビアの事例~

南米大陸の北西部に位置するコロンビア共和国。人口はブラジルに次いで南米第2位の4770万人。国土面積は114万平方km(日本の約3倍)と広大で、高度3000m級の山岳地域から年間の平均気温が24℃以上の平地まで気候は地域によって大きく異なり、カリブ海的な乾季・雨季を持つ。コーヒー豆の栽培が盛んで、輸入品目の約6割を占めていたが、現在は石油・石炭の輸出も伸びている。

対米FTA発効による変化

元来、貿易や経済支援を米国に頼っていたが、コロンビアの対米FTA(自由貿易協定)は2012年4月に発効した。これを受けて、80%の関税は段階的に引き下げられ、16年以降は関税ゼロに移行する。
100年以上の歴史を持つ稲作は、平野部から冷涼地までの多様な気候により、周年栽培が行なわれ、毎月どこかの圃場で実りの季節を迎えている。主に手作業による伝統的な手法で、多くの農業者がコメづくりに励んできた。そこへ、国際競争力のある低コストのコメづくりが迫られる事態が訪れたのである。
図1に2011年の1ha当たりの月別収量を示した。5800~7100kg/haという変動幅を抑えることが現状の課題の一つである。地域によって、土地改良や機械化、品種の普及に差があるものの、約3割は耕さずに手で播種しているのが現状で、天候の影響に左右されやすく、お天道様頼みの稲作なのだ。

AMTECプロジェクト

技術革新を進めようにも、コロンビアには農業機械メーカーも、農業を支援する会社も、業界団体もない。そこで、設立されたのがフェデアロス(FEDEARROS)という組織である。全農家が生産量の0.5%出資を法律によって義務付けられ、肥料や種の販売から農業機械のリース、さらには技術指導までを一手に引き受ける。
その傘下で進められているのがAMTECプロジェクトである。その目的は、収穫量を増やすと同時にコストを減らすために、作物管理技術を最長6年の期間で、環境に最も影響を与えない形で導入すること。気象や土壌分析などのデータを収集して、診断と栽培計画を立てるシステムがパッケージ化されている。いわば、医者のような働きをする。

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