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天を測る気を読む

90日前・180日前の気象が今日の気象のヒントになる

天候予測は、自分の頭を使って自分で行なうものです。その予測の手掛かりとして、私はまず「寒だめし」という方法で予測することを仲間と一緒に始めたわけですが、自分の天候予測の精度を上げる手掛かりが他にもないだろうかと探していました。

今日の天候の予兆は
90日前に示されている

そうした中で出会ったものの一つが、新潟県の酒井與喜夫さんという方が提唱していたカマキリによる積雪の予測というものです。
酒井さんは「カマキリが高いところに卵を産むと大雪」という伝承に着想を得て、カマキリは雪に埋もれない高さに卵を産み付けるのだと考え、長年カマキリの産卵位置と積雪の関係を調べていました。
そして、天候は地中から発せられる微かな振動(地中音)の影響を受けていて、カマキリはその地中音を感知しているのだろうと考えたのです。ところで酒井さんは電気通信工事の専門家です。そこで、この地中音を測定する機器を作ってデータを取り続けた結果、現在の天候は、90日前の地中音の波形から予知が可能であるとする説を発表したのです。その詳細については、農文協から『カマキリは大雪を知っていた――大地からの“天気信号”を聴く』という本が出ています。
ただし、その後、カマキリが積雪を予測しているとの説は弘前大学の安藤喜一名誉教授によって否定されました。現実の自然界では、同じ年でもカマキリが卵を産み付ける高さはまちまちで、雪に埋もれて越冬する卵も多いというのです。
ただ私は、酒井さんの研究で示された、現在の天候はその90日前に予知するための材料が示されているという部分に興味を持ちました。それで、私は地中音を測る機器は持っていませんから、実際の気象データのグラフを見比べたのです。すると、とても面白いことに気付きました。ある月の気象データのグラフは、その3カ月前のグラフと似ているところがあるのです。
今日は急に気温が上がったという日に、その90日前のデータを確かめると、やはり気温が急に上がった日だったということがある。3カ月前は季節が違いますから、気温の上昇・下降の傾向は違い、全く同じというわけではありません。しかし、気温、湿度、降水、風の状態などで急な変化や変わった天候などがあれば、90日前に見つけることができるものです。さらに、180日前の気象は90日前の気象と似ているということにもなるので、この2つを突き合わせると、これから起こる変化の特徴をつかみやすくなります。

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