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岡本信一の科学する農業

排水性改善:圃場に水たまりができるのは当たり前?


元来、畑地の場合はそもそも平坦ではないので、ある程度仕方がない側面もあるが、水田や圃場整備後の平坦に近い圃場でも、水たまりができる場所は多い。
平坦なのに水たまりができてしまう圃場をよく観察していただきたい。実際に観察してみると、多くの場合、畑の真ん中に大きな水たまりができている。圃場に降った雨は、自然と真ん中の凹みに集まってしまうため、排水性改善策の効果は薄れてしまう。畝間から排水されるべき水も集まってしまうのだから、最悪の状態である。栽培期間中の降雨のたびに中央部に水たまりができれば、相当の影響が出る。
しかし、さまざまな工夫で、圃場内に水たまりができないようにすることが可能である。例えば、圃場内をなるべく平坦にし、水たまりができないように耕起作業を行なうのもその一つである。
多くの耕起作業は土壌の偏りを作る。ロータリー耕のように土が移動する作業では、圃場の真ん中の土は周辺部に運ばれて、長い時間をかけて少しずつ中央部の土壌が削られ、真ん中に凹みができてしまうのだ。1回の耕起による土壌の移動は少しずつだとしても、同じ耕起方法を繰り返すことによって人為的に水たまりをつくっていることになる。
これを防ぐためには、常に土壌の偏りが起きないように注意して、耕起作業を行なう必要がある。むしろ圃場内の高低差は、中央部が最も高く、周辺部が低ければ、外へ水が流れやすくなる。同じように作業をすると次第に偏っていくことを理解した上で、耕起する向きや入り方、出方などを変える工夫するだけで変化を実感できるはずである。
まずは、自らの圃場のどこに水たまりができるのかを観察することをおすすめする。水田や基盤整備後の圃場以外の畑地は、元々うねりがあって、水たまりができやすい。どこに水たまりができているのかが把握できれば、土の偏りができた理由を考えて対策を講じることができる。

米国カルフォルニアでも
圃場を平坦に均している

ここまでの話を「まったくそのとおりだ」と話す方々もいらっしゃる。優秀な農家は当たり前のように、耕起を工夫して、圃場が平坦になるように作業しているためである。
しかし、親身に説明したとしても、なかなか人に伝わらないというジレンマがあるという。その理由は明らかで、圃場によって条件が違うため、具体的な作業方法を一般論では語りにくいことにある。圃場内のムラを小さくする作業は、水たまりができないようにすることをはじめ、多くの細かな作業や工程によって実現する。どのように工夫をしたらよいのか、どうしたら土が周辺に偏らないのかは、圃場の状態を把握していないと、具体的なアドバイスは難しいのである。

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