ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

景気回復に乗れる野菜類は

多くの補助的な野菜品目は、この20年間の不況下でその需要が大きく減って相場も下落したことで、生産・出荷も激減するという環境に置かれていた。それがようやく景気回復の兆しが見え始め、消費者にも心理的、経済的な余裕が生まれるようになると、復活を見せる品目も出てくる。ただし、いったん生産を減らした品目のなかには、環境が変わってもなかなか生産が回復しないものもあり、輸入品に代替されてマーケットをなくしたものもあるなど、品目間の事情は一概ではない。この景気回復基調に乗れる野菜類はどんなものか、このまま衰退してしまうのは、復活の条件は……。
ワサビ
主産地静岡96%の圧倒的シェア、「和食」ブームで見事な復活を

【概況】
東京市場のワサビの入荷を1993年対2013年で見ると、入荷量は1割減って平均キロ単価が4920円対6212円だから26%高くなったことになる。単価の推移では、年末に向けて高くなり、1月がピークだった93年に対して、13年は秋から年末にかけて高騰するようになっている。圧倒的なシェアを誇る静岡は13年で96%と他の追随を許さない。一方、つい数年前まで入荷があった台湾産は13年では姿を消している。

【背景】
93年より13年の単価が高いのには説明が要る。実はバブル経済崩壊の影響を真っ先に受けたのは高級業務用需要である。そのため、野菜類でもツマ物類についてはちょうど93年から非常に大きな相場下落となったのだ。それまでの4年間の平均単価は6362円だから、93年には22%も安くなっている。その後、つい数年前まで入荷激減、単価安という状況が続いていたのだが、13年にはまるでバブル期に回帰したかのようだ。

【今後の対応】
ワサビが復権しつつある。背景にあるのは「和食」ブームに違いない。昨年の秋以降に高騰してきたところを見ると、和食の世界文化遺産申請のタイミングに当たる。一般的に求められる「日本品質」や職人ワザは野菜類ならツマ物類である。これまでチューブ入りはフェイク食品であることを誰もが知りながら、生鮮ワサビになかなか需要が生まれなかったのは不思議なくらいだ。この和食ブームを一過性で終わらせないようワサビ業界も奮起を。

関連記事

powered by weblio