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シリーズ水田農業イノベーション

水田農業イノベーション研究会2014 第2回:水田での子実トウモロコシ生産に関する検討会in成田 ~狭小圃場での収穫作業体系と課題の検討~

(株)農業技術通信社は、水田農業イノベーション研究会の2回目の検討会を11月12日、千葉県成田市で開催した。全国から耕種農家、畜産農家、飼料メーカー、機械メーカー、流通・加工業のほか、行政・研究機関・農業関係団体など約120名が参集した。わずか20aという狭小区画の谷津田(水田)での収穫作業を見学した後、これまでの経緯と今後の課題について検討した。 誌面では、「水田農業イノベーションと子実トウモロコシの可能性」と題して、コーディネーターの本誌編集長の昆吉則と6名のパネリストによって行なわれたパネルディスカッションの様子を報告する。 (取材・まとめ 平井ゆか)
昆吉則(本誌編集長) 日本での子実トウモロコシの生産は、農業経営者たちとそれを利用する方々の活動によって「経営実験」がはじまったという段階です。3年前に北海道の柳原さんと兵庫県の奥野さんとの取り組みが始まり、その後、2013年から岩手県の盛川さんや大潟村の宮川さんが生産を始めたばかりで、現実には価格や品質などさまざまな問題があるかと思います。目線の揃う異業種の方たちがこの動きを創り上げていくなかで、いま何が問題で、今後、何をしなければならないのかについて、話を進めてまいります。

水田での畑作機械体系の導入と
トウモロコシの栽培体系

昆 子実トウモロコシは、トウモロコシを生産するということにとどまらないテーマです。今年、米価が暴落しました。私どもの読者の皆さんもご苦労されています。これまでも乾田直播、畑作技術体系を水田でやろうと取り組んできていますが、水田にプラウやスタブルカウチを入れることに大きな抵抗がある方たちもいまだに多いでしょう。周りから変人扱いをされるような技術体系に取り組んでこられた皆さん、その取り組みの意義と現在の作業体系を話していただけませんか?
柳原孝二氏((有)柳原農場・代表取締役) 僕らの地域では、畑をきれいに耕さなくても使える真空播種機が普及してきましたが、北海道でもまだ、きれいにロータリーをかけて播種する作業体系のほうが主流です。その体系では大面積をこなせないので、意識改革が必要かと思います。
盛川周祐氏((有)盛川農場・代表取締役) 私の圃場は石が多いため、ロータリー耕は機械のトラブルが多くなります。そのため、畑作はプラウでほぐして、ディスクでならし、ドリルで撒くという体系でやってきました。乾田直播なら、水稲もそれに近い体系でつくれるので、経営的には、畑作用、水田用とそれぞれの機械を持つ必要がありません。コスト低減になりますし、機械を年中利用できます。
小泉輝夫氏(小泉ファーム・代表)私が水田を乾かすのは、コメ以外の作物の選択肢を作るためですね。高速作業や作業の平準化を求めるなら、どうしても畑作体系にしなくてはならないと考えています。プラウで起こした土を冬の間、寒にさらして霜に触れさせることによって、ロータリー耕では得られない土の構造を得られます。雨が降った後、いかにトラクターを入れるか、土をいじれるかに主眼を置いています。
昆 既に水田でも畑作作業機による機械体系であれば、麦も大豆もトウモロコシも同じ作業体系でできるということが肝心なことと思います。
盛川 トウモロコシの栽培は、大豆の作業体系も、時期的にも基本的には同じです。大豆との違いは、非常に肥料が要るので大量の堆肥を投入している点と、生育が早いので雑草対策、中耕・培土、殺菌剤、殺虫剤が不要な点です。したがって作業時間は、大豆と比べても非常に少なく、13年の事例では70aの圃場内での作業時間は約2時間で済みました。実際にはセッティングなどもっとかかりますが、機械さえ揃っていれば、栽培することは問題ないかと。
柳原 13年は長雨が続きまして、播種が遅れて収量も良くなかったです。14年は4月に一部、5月1~2日でほぼ全量の播種が終わりました。麦と大豆の輪作の中でトウモロコシを栽培していまして、麦の収穫後にプラウをかけて大豆を播種し、大豆の収穫前に小麦を間作栽培するという体系なので、そこにトウモロコシを加える場合は、小麦の後にトウモロコシ、大豆に戻せば、プラウ耕は麦の後の1回で済むと考えています。幅4mのスタブルカウチで簡易耕をして、今年はパイオニアさんの高性能な播種機をお借りしました。
小泉 初めての取り組みだったので、前年に排水対策、特に湧水の管理に力を入れました。肥料はプラウで土を反転させた後、鶏糞を散布してバーチカルハローをかけた後、コーンプランターで播種と同時に側条施肥をしました。

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