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江刺の稲

規制改革に読者の意見を反映したい

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第132回 2007年03月01日

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昨年の12月25日、内閣府の規制改革・民間開放推進会議は、「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」を公表し、閣議により承認された。筆者が大泉一貫氏(宮城大学大学院教授)とともに、昨年度から同会議農業ワーキンググループの専門委員として参加したことは本欄にも書いた。答申内容やその議事録は規制改革・民間開放推進会議のホームページ上に公開されている。
 昨年の12月25日、内閣府の規制改革・民間開放推進会議は、「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」を公表し、閣議により承認された。筆者が大泉一貫氏(宮城大学大学院教授)とともに、昨年度から同会議農業ワーキンググループの専門委員として参加したことは本欄にも書いた。答申内容やその議事録は規制改革・民間開放推進会議のホームページ上に公開されている。

 答申に関して、特に農協系のメディアにおいては反発が出ており、会議が示した問題意識について、「農協に対する悪意と偏見に基づいている」(?)との批判を受け、「委員の人選や構成に問題がある」(?)とも指摘された。

 今月号では、同会議の答申内容を紹介する特集を掲載した。答申では多様なテーマを取り上げたが、その中核部分を紹介している。それに加え、農水省とのすり合わせで答申に書き込むことができなかった我々の指摘したことを示した。併せて、農業WG主査を務めた南場智子氏((株)ディー・エヌ・エー社長)に司会をお願いし本間正義氏(東京大学大学院教授)、大泉氏、昆による座談会も掲載した。

 規制改革会議の場では、数名の読者に参考人として証言をお願いした。その他、多くの方に現地聞き取りのご協力いただいた。現場の農業経営者や関連業界で現実の仕事に取り組む当事者が会議の場で発言の場を与えられたことは今までなかったと思う。その意見を各省庁との議論に反映させることができたのは、筆者自身の見解を披瀝する以上に筆者がそこに参加したことの意義であったと考えている。今年も新規組織になって引き継がれ、筆者等もそこに参加することになると思うが、さらに多様な現場の人々をその場に登場させ、その意見を反映させていくつもりである。読者および関係者の皆様には、さらに、ご意見や情報をご提供いただき、皆様が考える農業改革に筆者を利用していただきたい。

 ところで、このテーマで私的なことを書くのは常識に反するかもしれないが、筆者が規制改革会議の農業専門委員に参加することを了解したのは、規制改革推進会議の事務局員として筆者を訪ねてきた高田眞君に出会ったからだ。民間企業から内閣府に出向している彼は、出身官庁にとらわれる必要のない立場であるだけでなく、彼自身の産業としての農業の可能性に対する理解を前提にした農業改革への熱意は、改革を語りながら現状を固定しようとしている農業関係者たちのおしゃべりより筆者の気持ちを動かしたからだ。それだけでなく、金融界出身の彼の知識と感性は、出会った農業経営者にも示唆と共感を与えていた。また、彼のここでの経験は将来の出身母体での仕事にもきっと役立つはずだ。

 そもそも筆者は、制度政策をいじり回すより農業経営者とマーケットの論理に任せるべきという立場であり、政治や行政が余計なことをしなければ、農業だけでなく農村も活性化するという意見を持っていた。本誌執筆者でもある本間・大泉両氏も基本的には同じ考えだと思う。でも、農業経営者や企業人たちが、より自由に農業や農村そして消費者への役割を果たせる状況を作り出すことにこの組織は役立つと再認識した。

 お役人たちの弁解の言葉であった「政治家の先生」の圧力も選挙が終わればなくなるはず。専門委員の諸氏及び高田君ら事務局の人々とともにお役に立ちたい。農業経営者はもとより行政や農業団体の方を含む関係者の皆様のご協力をお願する。

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